(初恋篇)





「坂田?」
「ん?おー、真央か」


卒業前。合格発表を確認するために、銀魂高校まで向かう。
その途中でコートを着た坂田を見かけた。
薄く笑った坂田は、私が隣に並ぶのを待ってくれた。
二人並んで自然と足は学校へ。


「合格してる?私」
「いや知らねー」
「あんた教師でしょ」
「いや俺ホント知らねーって。第一真央の受験番号も知らねーってのに」
「ねえねえ」
「あー?」
「なんで隆ちゃんの前では、真央って呼ばないの?」


じっと見つめてみたら、数回瞬きしたあと急に顔が赤くなる坂田。



「そ、そりゃー………なんか…照れくさいっつーか」
「別に隆ちゃんに気なんて遣わなくてもいいいのに」
「いやいやいや、あいつ怖いからね?究極のシスコンだと思いますよ」
「え?シスコン?」
「(え?知らないのコイツ)いやなんでもねーわ」
「ねえシスコンってなに」
「なんでもねーって。あーほら、ついたぞ」
「シスコン……?」


シスコンという単語に疑問を感じながらも、ポケットから受験番号の記された紙を取り出す。
1010



「お、銀さんの誕生日じゃねーか。縁起がいいなオイ」
「1010……1010…」
「無視かよオイ」



人混みに紛れながら、掲示板に張り出された紙の数字の塊から1010を探し求める。




「………」
「…真央?」
「…い」
「あ?」
「……ない」




ぐしゃっと紙を握り潰す。受からなかった。ダメだったんだ。
地面を見つめ、気持ちがだんだんと冷めるのを待つ。





「何言ってんの?」
「…へ?」




坂田が私の右手をぎゅっと握った。
何か胸が痛くなったのを無視して、歩き出す坂田についていく。





「あんじゃねーか。ほら」




―――――
1010 合格
※記載漏れ
―――――




「…お、おう………」
「ハハッ、おめでとさん」
「……う、うん」
「んだよビックリしちゃってー」
「してない!」
「してんだろー?涙目だぞー?」
「き、記載漏れとか……どんな間違いだよ」
「適当だからここの教師」




一番に聞きたかった、おめでとうの言葉。





「ねえ坂田」
「銀ちゃん」
「は?」
「この高校入るからには、銀ちゃんもしくは銀さんと呼ぶように」
「あー……じゃあ、銀八で」
「うおい!せめて先生つけろよ!」
「ねえ銀八」
「あーもう、んだよ」
「ここに入ったら…私、毎日会ってもいい?」
「だれに?兄ちゃんにか?」
「いや、それもだけど………アンタに」
「…え、俺?」



いや、まあ来てもいいけど。



気になって気になって気になった先はなに?





20111210
初恋篇、了

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