ふと気がつくと、なんだか周りが明るかった。暖かい毛布が気持ちよくてもう一眠りできそうだったが、今何時なんだろうと気になった。時間によっては、起きたほうがいいだろうと思ったからだ。時計を見ようとして、目を開けて驚いた。



「おはよう、ひろくん」

「お、おはよう…」



目を開けた瞬間、なまえちゃんと目があった。まさに目と鼻の先だ。まだ心臓がバクバク言っている。今ので目は覚めたが働かない頭で状況を説明すると、僕たちは床に寝ていた。昨夜の宴会の途中で寝てしまったんだろうか。
宴会?なんだか記憶がすごく曖昧だ。天さんと鷲尾さんが盛り上がってたような…。でも何がそんなに面白かったんだったっけ…。
起き上がって時計を見ると、まだ7時前だった。ついでに周りを見てみると、3人の男たちが床に転がっている。そしてお酒のビンも転がっていた。あぁ、そういや僕も日本酒飲まされて…あれ、そのあとどうなったんだったかな。僕が寝る前になまえちゃんは寝ていたような、起きていたような。うーん、なんだか頭が痛い気がしてきた。僕に一体何があったんだろう。



「あたま痛いの?」

「あぁ…いや、大丈夫」



全く思い出せなくて頭を抱えていると、なまえちゃんも起き上がって聞いてきた。頭も痛いと言えば痛いけど、この場合は違うんだ、と説明してわかるだろうか。でも、首を傾げて見上げるなまえちゃんを見ていたらどうでもいい気がしてくる。どうでもいいとなると不思議なもので、もう一眠りしようと言う気になってきた。きっとみんなもまだ起きないだろう。
まだ僕を見上げているなまえちゃんを抱いて、そのまま勢いで寝転んだ。



「あれ、こんな光景前にも見たことあるような…」

「昨日もひろくんにぎゅってされてね、ねむくなっちゃった」

「…そのまま寝て、朝?」

「うん、ひろくんもう赤くないね」



断片的に記憶が戻ってきた。いいだけ酔った赤木さんと天さんには「俺たちと同じビンの酒は飲めねぇって言うのか」と意味不明ないちゃもんをつけられて、鷲尾さんには「男ならごちゃごちゃ言ってねぇでさっさといけ」と怒鳴られながら強制的にお酒を飲まされた。1杯だけですよ、なんて言ってた自分の甘さに悔いが残るばかりだ。1杯が2杯になり、2杯が3杯になる。こんなの簡単に予想できたのに。
そして普段飲まないお酒を飲んで頭が痛くなってきた僕をさっきみたいに心配してくれたなまえちゃんを、さっきみたいに抱いて寝始めたんじゃないだろうか。もうこの辺は記憶が曖昧だ。



「ひろくん、また赤い」



そう言って僕の頬を撫でるなまえちゃん。僕は照れ隠しのためになまえちゃんを抱く腕の力を強くした。くすぐったそうに笑うなまえちゃんと額と額を合わせて、もう一眠りすることにしよう。起きたら、全部忘れていますように。


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