あの海岸の日から、次になまえちゃんに会ったのは3日後だった。



「ひろくん」

「どうした、なまえちゃん」

「あのね、これ」

「あぁ、この間の貝殻?」



これ、と言ってなまえちゃんが見せたのは、貝殻だ。この間と違うのは、1つしかないと言うところだろうか。



「オレはもうもらったから…」

「赤木さんがね、天さんにもあげたらって」



赤木さんが、と言っているが、そういえばあの時ちゃんと貝殻選別の頭数に天が入ってたじゃないか。赤木さんは、渡そうとは思ったけど行動に移せないなまえちゃんにきっかけを与えたんだろう。



「それはさ、なまえちゃんが直接あげなきゃ意味ないと思うよ」

「でも…」

「一緒に行ってあげるからさ」



それでもなまえちゃんはしばらく悩んだあと、意を決したようにオレの手を握った。手をつないだって、行き先はすぐそこにいる(っていうかここから見える)天さんだ。何がそんなに怖いのかはわからないけど、人にはそれぞれ好みってのがあるんだからしょうがない。



「天さん」

「おぉ、ひろゆきとチビか」

「なまえちゃんが天さんに渡したいものがあるんだって」



不安そうにオレの顔を伺って、それから天さんの方に手を伸ばした。オレと繋がれた方の手は、さっきより強く握りしめられている。なまえちゃんに目線を合わせるためにしゃがんだ天さんは貝殻を受け取ると、やっぱりいつもの能天気な笑顔で礼を言う。天さんにはこの貝殻に込められた思いがちゃんと伝わっているのだろうか。



「俺には似合わねぇぐらいの綺麗な貝殻だな」

「赤木さんとひろくんとね、海いったの」

「ずるいぞ!お前たちだけで!」

「今度は天さんも一緒に行きますか」

「おう、バーベキューの用意してな!」



伝わったんだか伝わってないんだか、天さんはなまえちゃんの頭をガシガシと乱暴に撫でる。なまえちゃんはと言うと、固まってはいるものの逃げないから、ひとまず赤木さんの思惑は成功した…と思う。オレはなぜか天さんがなまえちゃんを頭から食べる図が頭に浮かんで、笑いをこらえるのだった。












接触と摂食

(で、じゃあいつにする?)

(何がですか)

(いや、だからバーベキューをよ)


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