「天、お前めちゃめちゃ警戒されてるぞ」
「え?状況がよく飲み込めないの俺だけ?」
なまえちゃんは、天さんを見るなり固まってしまった。このままじゃ髪の毛が赤木さんと同じ色になるんじゃないかと言うぐらい驚いた顔をしている。赤木さんがなまえちゃんを脚から剥がして抱き上げると、今度は赤木さんの首に抱きついた。
「おーい、どうしたちっこいの」
「ひろゆきんときみたいにほれ、挨拶しろ」
「ほーらほら、おいら天さんですよー」
天さんが、なまえちゃんの顔の前で手を振る。すると、今度は赤木さんの肩に顔をうずめてしまった。赤木さんの首締まってんじゃないか、あれ。
「どうしたんだ、なまえ」
「でっかい」
「でかい?」
これが「蚊の鳴くような声」の見本だと言うような声でなまえちゃんから発せられたのはその一言だった。たしかに天さんは大きい。身体もでかけりゃ声もでかいし、身振りも全部大きい。それに対してなまえちゃんはこれだ。そう考えるとこの2人はまったくの対局で、お互いに未知との遭遇みたいなもんだ。なんだか笑えてきた。赤木さんも笑いだしたから、たぶん同じことを考えているのだろう。
野生動物と探検家
(おいおい、何で笑うんだよ!)
(わらわないで、赤木さん)
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