「何して遊ぼっか」

「できるだけ平和的なので頼みますよ」



もう何をするかは決まっているくせに、わざとらしく聞いてきた。平和的、なんて言っても無駄である。この娘にすれば「平和的」という言葉は「血が出ない」ということであり、その他の内容は一切問わないのだ。



「そうだなぁ…あっ!」



まぁ、拷問の申し子と言えどもまだ小学生、流血沙汰になることは滅多にない。それよりもいかに大人をこき下ろすか…そこがこのお嬢様のポイントである。



「なまえ、明日乗馬するんだよね」

「ほお、それは結構なことで」

「でもしばらく乗馬なんてしてないから、うまく乗れるか不安だなぁ…」

「前回はとてもお上手に乗りこなしたとの噂ですからな、きっと大丈夫でしょう」

「そんなこと言うなら利根川が責任とってよね?」



来る。この流れは…間違いない、あのパターンだ。



「責任、といいますと?」

「おうまさんごっこ、もちろん利根川がおうまさんだよ!」



ああ、やはり…。正直に言えば、ただの「お馬さん」なら今さらもうそれほど恐れる必要はない。しかし、乗馬を覚えてからと言うもののこのお嬢様は本物の馬当然にわき腹を蹴るのだ。鞭を覚えたらどうなることやら。当然私のことを人間だなんて考えていない。お嬢様が人間だと思っているのは兵藤の冠を持つ者だけだ。



「ほら早く!馬はソファに座ったりしないでしょ?」



やりたくない、そんなこともちろんやりたいわけがない。だがこうなることは昨日の電話の時点で決まっていたことで、もっと言えば最初に目を付けられたときからきまっていたのだ。ここで断ったりすると、より面倒なことになる。お嬢様にとって私は玩具なのだ。玩具がその使用者に逆らったりするだろうか。いや、しない。つまりそう言うこと。私は四つん這いになり、背中にお嬢様を乗せて歩き回る馬になる他ないのだ。












億万長者のライディン・ホース

(ほら歩けっ!)

(ぐっ…!)













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発進は馬の腹を蹴るらしいです。
軽くね、軽く笑
この場合の強さはご想像におまかせしましょう。


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