布団にくるまって眠っていると、となりになにか、あたたかいものがやってきた。太陽のひかりがカーテンの隙間から入ってくるも、いまだ夢うつつな俺のとなりにあるこのぽかぽかとしたものはなんなのか。おもたい瞼をすこしずつひらき、ゆっくり時間をかけながらぽかぽかの正体を確認する。ぽかぽかは、よく見知った女の顔をしていた。
「 おはよう 」
そう言って彼女はむくりとベッドから起きあがり、裸足のままキッチンへむかっていった。最後に彼女を見たときからすこし、髪の毛がのびている気がする。
「 もう、わたしのスリッパ勝手に捨てたでしょ 」
「 なんで帰ってきた 」
「 綺麗好きなのはいいことだけど、わたしのものまで捨てないでね 」
「 なんで帰ってきたッ!! 」
俺の怒鳴り声に、ちいさな体がびくりとふるえた。腕ひとつなくしておいて、どうして懲りずにのこのことやってくることができたのだろう。すくなくとも、俺は。思い出すだけで気分がわるくなる。彼女のあの細っこい腕が、小枝を折るように、ポキンと形を変えた瞬間を、俺はいまでも夢にみる。守れなかったのだ。
ずず、と鼻水をすする音と一緒に、彼女の影が視界のなかをゆらゆらと揺れる。
「 ギアッチョに、会いたかったんだよ 」
小鳥のさえずりが聞こえる、すがすがしい朝だった。




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -