いつもの向かい風が、今日はみょうに冷たくて思わず肩をふるわせた。前を歩くディエゴとホット・パンツもどことなく体を縮こませているように見たので、なるほど、もう冬なのかと空を見上げた。雪はまだ降りそうにない。
「 今日は冷えるな 」
一番薄着なわたしのことを心配して、ホット・パンツがコーヒーをいれてくれた。ミルクはたっぷり。以前、彼女がいれてくれたブラックコーヒーを苦いのは飲めないのだと言えず、飲もうとしたことがあった。ひとくち喉を通ったとたんに目から涙がぼろぼろとこぼれだしたわたしを見て、彼女はひどく驚いて、がらにもなくあたふたしていたのをおぼえている。ディエゴはクスクスと笑いながら、あまったブラックコーヒーを飲みほしてくれた。それからはわたしのコーヒーだけはミルクたっぷりのあまいコーヒー。となりでブラックコーヒーをのんでいるふたりがすこしうらやましい気がしないでもないが、あの苦味を味わうくらいならディエゴに子供あつかいされたままのほうがまだいい。
「 寒くないか? 」
「 へいきだよ。ホット・パンツは寒くない? 」
「 私はきちんと防寒着を身につけている 」
ひとつやろう。そういって彼女は手持ちのブランケットをわたしの膝にかけてくれた。かわいい。小花柄だ。彼女のこういう女性らしいところにはいつも癒される。
「 ちゃんとあたたかい格好をして寝るんだぞ 」
「 うん、ありがとう 」
「 おいナマエ、今夜は俺と寝ろ 」
「 貴様、ふざけているのか? 」
「 あはは、ディエゴもさむいんだね 」
「 べつに、そんなんじゃあない 」
「 ナマエはお前の毛布じゃないぞ 」
「 いいから今日は俺の隣にいろ。命令だ 」
「 はいはい。わかりましたよー 」
「 ナマエ、あまりこいつを甘やかすな。すぐ調子にのるぞ 」
「 じゃあホット・パンツも一緒に寝ようよ 」
「 ば、ばかか!なんでそうなる! 」
「 ディエゴ、両手に花だね 」
「 悪くない 」
「 きさまら! 」





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