1 斜め前の席のハル君は、入学初日に流血事件を起こして以来、学校に来てない。 隣の席の水谷さん、ちょっとかわいそう。…まあ水谷さんはずっと勉強してるけど。 興味が沸く。 『えっと…夏目さんに聞いてみよ』 夏目さんは超のつく美女。 モテるから女子友は少ない、らしい。 『なーつめさん!』 「!?」 夏目さんは驚いたように後ろを振り向く。 「え!?苗字さん!?どうしたんですか!?」 『堅苦しいからあだ名で』 「じゃああだ名もなるべく…」 『夏目さん、水谷さんって気にならない?』 「わかりますっ!!!」 そして、夏目さんがポン、と手を叩いて提案した。 「尾行しましょう!」 『それはやめた方がいいと思うよ』 犯罪だろ!!きっぱり言うと、隣の席から声が。 「じゃ、話しかけてみたら?」 隣を見ると、佐々原君だった。野球部で友達が多いっていう噂の。 「貴方は関係ないでしょう」 『佐々原君、聞いてたの?』 夏目さんは男嫌いらしい。態度変わりすぎじゃない? 佐々原君は、怒っている…というか。感じ悪いよ、夏目さん。 『夏目さん、佐々原君に謝ったら?感じ悪いよ』 「あ、苗字さん、ササヤンでいーよ」 『じゃあササヤン』 すると夏目さんが顔を上げた。 [ top ] |