斜め前の席のハル君は、入学初日に流血事件を起こして以来、学校に来てない。

隣の席の水谷さん、ちょっとかわいそう。…まあ水谷さんはずっと勉強してるけど。
興味が沸く。


『えっと…夏目さんに聞いてみよ』


夏目さんは超のつく美女。
モテるから女子友は少ない、らしい。


『なーつめさん!』

「!?」


夏目さんは驚いたように後ろを振り向く。


「え!?苗字さん!?どうしたんですか!?」

『堅苦しいからあだ名で』

「じゃああだ名もなるべく…」

『夏目さん、水谷さんって気にならない?』

「わかりますっ!!!」


そして、夏目さんがポン、と手を叩いて提案した。


「尾行しましょう!」

『それはやめた方がいいと思うよ』


犯罪だろ!!きっぱり言うと、隣の席から声が。


「じゃ、話しかけてみたら?」


隣を見ると、佐々原君だった。野球部で友達が多いっていう噂の。


「貴方は関係ないでしょう」

『佐々原君、聞いてたの?』


夏目さんは男嫌いらしい。態度変わりすぎじゃない?
佐々原君は、怒っている…というか。感じ悪いよ、夏目さん。


『夏目さん、佐々原君に謝ったら?感じ悪いよ』

「あ、苗字さん、ササヤンでいーよ」

『じゃあササヤン』


すると夏目さんが顔を上げた。



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