そこまで言えとは言ってません
∴匿名様 キリリク26450





『っはー!全く分かんない!』

「みょうじさんうるさい」

『あ、ごめん山口くん』


先生が解けと言った問題を解こうとするが全く分からなくて、つい叫んでしまった。

するととなりに座っている彼氏に怒られちゃった。つらい。
山口くんは一応彼氏なのに厳しい。


『…ねえねえ山口くん』

「…」

『無視しないでよー』

「…」

「みょうじうるさいぞ」

『すみませーん』


解けなくてつまらないので山口くんにちょっかいをかけてみても、ガン無視。
何度も話しかけていると、先生に怒られた。

…はやく終わらないかなあ、山口くんと話せないしつまんない。
ほら、周りの女の子も山口くん見てる。
合コン相手にはエロ狐とか言われてるけど、やっぱりイケメンだしモテるよねー。

なんて考えていると、なんだか眠くなってきて、意識が途切れた。



∴ ∵ ∴



「…ん、みょうじさん」

『うー…って山口くん!?えっなに!?』


目を覚ますと山口くんのどアップ。
周りを見渡すと、誰もいない教室だった。

…脳の駆使で糖分足りずに疲れたんだな。


「みょうじさん、帰んないなら放ってくけど」

『帰ります帰ります山口くんと一緒に帰りたいです!!』


筆記用具をかばんに詰め込んで、かばんをつかむと、あわてて本気で帰りだしそうな山口くんを追いかけた。


『はあはあ…早いよ山口くん…!もうちょっと待ってよー!』

「寝てたみょうじさんが悪いでしょ」

『いや脳使いすぎて疲れたから、ねっ!』


言い訳にならない言い訳をすると、山口くんは呆れたようにため息をついた。
音和って対して勉強しなくても高校まで行けたから!!


「はぁ…どう考えたってレベル合わない予備校なんかに行くからだろ」

『…だって…山口くんと一緒にいる時間増やしたくて…』

「…あんた、可愛いこと言ってくれるじゃん」


急に抱きしめられて、私はなにも言えなくなる。
…山口くんのにおい…、って当たり前か…。


「ねえ」

『な、に?』

「そろそろ下の名前で呼び合わない?」


抱きしめられながらそんなことを言われて、つい体を離してしまう。
え!?


『なに言ってんの山口くん、』

「その山口くんっていうのやめて賢二って呼んでよ」

『そそそそそんな無茶な!』

「…なまえ、お願い」


山口くんの滅多にないかわいらしい口調と名前呼びにやられて、真っ赤になりながらつい口を開いてしまう。
…こんなのだからベタ惚れとか言われるのかな…。


『け、賢二、…すき』



そこまで言えとは言ってません
(…なまえ、俺んち行くから連絡入れて)
(待っ、心の準備が)
(…俺がメールしておいた)
(!?)






あとがき
ヤマケンで甘々、とのことだったので…
甘々になっていますでしょうか…!?
このあと二人はいろいろしました。まる。

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