ササヤンくんに、チョコ。
『あ、ササヤンくん、えと、』

「ん?みょうじさん、どしたの?」


ササヤンくんの方を向いてガクブルしてると、
優しいササヤンくん様はこちらを…!

ん?ササヤンくんでさえ変なのに
ササヤンくん様って言葉がおかしい?
いや、自覚してます。


『あの、えっ、と』


今日の日付は2月14日。
…そう、バレンタイン!

ガクブルの次はどもってると、夏目さんが。


「ササヤンくん、これ、チョコです!」

「あ…夏目さん、ありがと」

「ももももちろん義理ですからね!!」

「分かってるって…」


仲良さげな2人を見ていると、泣きそう。

夏目さんがわざとなら怒れるけど…。
天然でやってるなんてたちが悪すぎるよ…。


「だ、大丈夫?」

『えっと、お…大島さん、ありがとう』

「いや、なんていうかちょっと…
 夏目さんって、変わってるよね」

『すごく分かる気がするよ…』


もうチョコは諦めよう、と思ってたその時。


「そういえばみょうじさん、なんだったの?」

「みょうじさんいたんですか!?ごめんなさい!!」

『あーうん、大丈夫…多分。』


苦笑いを零すと、夏目さんはホッとした様子。
…うん、ほんとに天然でやってたんだね。

そしてササヤンくんに向き直って、
チョコを差し出す。


『えっと、あの…チョコ、貰ってやってください!』


ササヤンくんは一瞬固まって、その後爆笑し始めた。


「ははははっ!はー…」

『え、あの、なんかしましたか?』

「いや、貰ってやってくださいって…」


大島さんに負けないマイナス思考だな、って。

チョコを受け取ってそう言うササヤンくんに、
私と大島さんは赤くなる。
ちなみに夏目さんは、青くなる。


「なに言ってるんですか!失礼ですよ!」

「夏目さんよりはオレ、マシだよ」

『…えっと、じゃあ』

「待ってよ」


ササヤンくんに、チョコ。
(オレ、みょうじさんのこと好きだった)
(ん?ちょ、え、えええええ…!)
(ははははっ!)




あとがき
ササヤンくんはきっと余裕ぶるけど実は
真っ赤になるはずだと思う。


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