君を頂戴 「トリックオアトリート！」 『…夏目さん、それみんなにやってるの？』 「もちろんです！」 これがハルくん、ミッティからのです、と 可愛い顔で教えてくれる夏目さん。 今日がハロウィンだからって学校で仮装は…。 「夏目さん、規則違反だから着替えてきて」 「えええー…いいじゃないですか今日くらいー…」 『似合ってるけど放課後にしたら…？』 「ああっなまえ！騙されるところでした…」 『え、なにが』 「お菓子ですよ！」 いやまあ用意してますけどね。 ハルくんとシズクにはあげたけどね。 包装したメモ付きチョコを夏目ちゃんに渡す。 「なまえ…！！大好きです！これ、わたしも！」 『凝ってるなー、ありがと！』 「あ、ササヤンくん、トリックオアトリート！」 「は？」 「だーかーら、お菓子ですよ！」 困惑してるササヤン。 おいこらイチャつくんじゃないよ。 夏目さんは可愛いしモテるからな…。 いやもう妬いちゃいますよ。 『ササヤン、トリックオアトリート』 「あ、みょうじさんどーぞ」 にっこり笑いながら邪魔をする。 ササヤンは気づいてるだろうけど、 夏目さんは残念ながら気づく気配すらない。 「みょうじさん、トリックオアトリート」 『え？』 「吉田にも渡したんじゃないの？」 『あ、うん…はい』 「みょうじさんありがとーね。でも…」 残念、ササヤンはそう言った。 私は意味が解らなくて、首をかしげる。 『え、チョコは渡したけど』 「なまえが欲しいってことだよ」 『な！？』 「まあ悪戯でも結果は同じだけど」 『！？』 いきなりキスされて、目を見開く。 数秒後にはニッ、といたずらっぽく笑う彼が。 君を頂戴 (ササヤンの馬鹿…) (妬いてたくせに) (そ、それは…！！) あとがき ササヤンとのことだったので…。 あれ。 ハルが空気だ。 [ top ] |