花が無いハチのもろいこと、
「リリー!!」

「ポッター、うるさいわよ!」

『……エバンズも大変ね』

「ああ、グリフィンドールながら同情するね」


ベラのとなりで食事していると、
ポッターとエバンズの会話が聞こえた。

グリフィンドールとスリザリンのテーブルは端同士
遠いはずなんだけど。


『あらセブル……』


セブルスを見つけたので話しかけようとしたら、
ポッターとエバンズの方を切なげに見ていた。

しばらくして食事に戻って行ったけど。


『ベラ、私先に戻るわね』

「もうかい?まあ、私はもう少し居るけど」


一限目は薬草学、図書室に行って
軽く復習して来たいのだけど……

そうなるとポッターたちの前を通らなければいけない。
できれば仕掛人たちとは関わりたくない。
食事前にもあんなことがあったし。

でもまあ仕方ないし時間の無駄なので、行くけど。


「君がエバンズは嫌だ、と言ったから――」

「あら、ミョウジ!」

『エバンズ、ごめんなさい、図書室に行く途中で……』

「私も行く用事があるの。一緒に向かわない?
 あの、ナマエって呼んでもいいかしら」

『ええ、構わないわよ。私もリリーって呼んでいい?』


もちろん!とリリーが満面の笑みで見てきた。
早く図書室に行きたいんだけど、
この子は悪気がないようだし仕方がない。

ブラックはさっきから睨んできているし、
ポッターは私に嫉妬しているみたいだし、
ルーピンはデザートを食べまくっているし、
ペティグリューは食事中だ。


『真実薬の量の関係について調べたいの』

「あんなに高度な薬だものね」

「僕のリリーと汚いミョウジに仲良くしてもらいたくないね」

「ああ、俺も同意だ。スリザリンだろ?」

「あなたたちには関係ないでしょう!」

『‘僕のリリー’には触れないのね……』


ポッターは堪え切れず言っちゃったよう。
リリー、怒ったら怖いのに。


『ポッター、残念ね。もう仲良くなっちゃったのよ。
 あと、汚いなんて失礼よ。』

「スリザリンは汚い、と思っただけだよ」

『あら、創始者のスリザリンが居なかったら
 スリザリン寮もホグワーツもなかったわ』

「創始者はすごかったかもしれないけど、
 闇の魔術に寮がどっぷりなのが気に入らないんだ」

『皆が皆ではないし、グリフィンドールで
 闇の魔術にどっぷり、もあり得るわ』


言い争っていたら、この人はほんとに
リリーが大好きで、闇の魔術が大嫌いで
少しばかり正義感が強く、傲慢ぎみと分かった。


『ほんとにリリーが大好きなのね』

「ああ、僕はリリーを愛しているからね!」

『でも、リリーがスリザリンだったらどうだったのかしら』

「それでもリリーはリリーさ」


が無いハチのもろいこと、
((もう少し魅力は無いの?))
(リリーが花で、僕はハチかな、)
(((どうしてこんなにもろいんだろうか、)))

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