かわいいね
『ポッター…』

「もう、あんたまだポッターが好きなの?」

『かっこいい!!』

「失恋って分かってるんでしょう」


呆れる彼女を無視して、ポッターを見る私。

うん、分かってるよ、けど。
手が届かないからこんなに好きなんだよ。

私がそう言うと、彼女はため息をついた。


『…エバンズに妬いちゃう!』

「あんたねぇ…」

『知ってるよ、私あんなに美人じゃないし』

「……」

『勉強も普通だし、いくら同じ寮で同じ学年だって言ってもあんなすごい人には知られてない』


黙ってしまった彼女に、言葉を続ける。


『私だって、現実と妄想の区別くらいはしてるよ』

「…そこまでは、」

『でも案外みんなそんなもんじゃん』

「なにが?」

『ほら、あの子たちも』


私が指差した先には、ブラックのファン。
その近くに実はポッターのファンもいる。


『ま、私が言いたいのは言われなくても分かってますよーってこと』

「はいはい」


呆れた彼女ににっこり笑うと、後ろから聞き覚えのある声がした。


「意外と現実的なのかい?ミョウジ」

『ポ、ポッターたち!?』

「…悪戯仕掛人!?」

「前から視線が気になってたからね」

「あぁ…案外妄想でもねぇな」


妄想でもない、という言葉が気になるが、それよりこんな近くにあのポッターがいる!


「まあリリーが僕の中で一番美しい女性だとは思うけど…」


ポッターがでも君も、と言葉を続ける。


かわいいね
(嘘みたい)
(君のこと、嫌いじゃないよ)



(140404)


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