くしゃり、と髪をつかむ仕草
『ジェームズは罪なひとだなー』

「どうしてだい?」

『リリーも好きなんでしょ?』

「ああ、だけど君も好きさ」

『ほら、そんなところ』


クスクス笑ってジェームズを見る。

ハシバミ色のその瞳は実は大きくて、鼻も高くて、眼鏡を外すとすごく可愛い顔。

ほんとはすごくモテてることだって知ってる。


「でもそれを許しちゃうナマエも罪だよ」

『えー?』

「そうやって僕を虜にしていくじゃないか」

『ふふ、リリーと私、どっちが好き?』


ジェームズの答えは分かっている。
きっと、選べない、って言う。


「うーん…」

『悩むなんてショックだなー』

「だって難しいじゃないか」

『ひどーい』

「でも、ナマエの方が一緒にいて楽かな」

『それはそれは光栄です』


ふざけたように言う。


「おーい、行こうぜジェームズ!」

「…空気読もうね?」

「も、もう少ししてからでいいよ…!」

「あら、ラブラブよね」


4人が来た。
シリウス、リーマス、ピーター、リリー。

リリーは呆れたように笑ったけど、ジェームズはリリーの事も大好きだから。


「シリウス、もう行くよ!」

『ね、ジェームズ』

「なんだい?」

『ふふ、大好きだよ』


笑うと、ジェームズは髪をくしゃり、とした。


くしゃり、と髪をつかむ仕草
(そんなところ)
(僕もナマエが大好きだよ)




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