[麻衣]


美彩『まいやん書いたー?』

「まだ。何書こう…」

松村『優に会えますようにでええんちゃう?』

「やだよ!恥ずかしい!」

橋本『優がこの短冊見るわけないじゃん!』

美彩『しばらく会ってないんでしょー?願い叶うかもしれないじゃん!』


結局みんなに言われたとおり願い事を書く。
そして買い物をして美彩の家へ。
同期でいつも一緒にいた5人。
入社して1年ぐらい経った頃に3人の後押しもあって、優と付き合う事になった。
でも仕事が1番できた優は1年前に1人だけ突然の海外出張が決まり、全然会えなくなってしまった。
連絡も最初はマメにしてたけど、だんだん返事がこなくなって連絡を取る回数が自然と減っていった。


松村『最近連絡とってるん?』

「昨日久しぶりに連絡したけど返事こない。」

美彩『電話とかは?してる?』

「全然。1週間に1回返事がきたらいい方だから、声なんて半年くらい聞いてないかも。」

橋本『何してるんだろ。そんなに忙しいのかな?』

「優、モテるから向こうで新しい相手見つけたのかも…」

松村『それはないやろー。まいやんより可愛い子なんてそうそうおらんで?』

「こんな想ってるの私だけかも…もう無理なのかも…」

美彩『大丈夫だって!ね!飲もう!はい、かんぱーい!!』


よく考えたら優はもう私の事好きじゃないのかも。
連絡を取るのもいつも私から。
電話は基本折り返しばっかりで1回で出ないし。


橋本『ちょっと、まいやん飲みすぎじゃない?もうやめときなよ?』

「今日は飲む!とことん飲む!今日はみんな付き合ってくれるんでしょー?」

美彩『付き合うけど…』


ここから先の記憶はあまりない。
ただ、たくさん飲んだなあっていうのは覚えている。
気がついたら寝てたみたいで、みんなの笑い声で意識を戻すけどあまり起き上がる気にならず、目をつぶったまま会話を聞く。


美彩『まいやんの事、ほったらかしすぎ。』

『ごめんなさい。』

松村『泣いてたで?』

『まじ?申し訳ないなあ…』

橋本『遠距離は絶対不安になるんだから。もしかしてほんとに浮気してた?』

『いやいや!するわけないじゃん!』

美彩『今日まいやん連れて帰ってよ?』

『もう寝てるからこのままでいいじゃん。』

松村『まいやんは2人になりたいんちゃう?』

橋本『たぶんね。ほら、早く起こして連れて帰って。』

『わかったわかった。』


夢かな。
優の声がする。
やっぱり会いたいなあ…


『麻衣ー?起きてー。』

「優…?」

『ほら、荷物持ったから。帰るよ。』


何が起きてるか理解できないまま美彩の家を出て、2階下の私の家へ。
部屋の奥にどんどん進んでいく優。
荷物を置いて立ち止まっている私の方に近づいてきた。


『ただいま。久しぶりだね。』

「なんで…」

『今日は七夕だからね。織姫様に会いに来たよ。』

「もう嫌われてるかと思った…」

『仕事が忙しくて。ごめんね。』


困った顔をしながら頭からを撫でてくれた優に、手を引かれてソファに座る。


『もう酔いさめてる?』

「たぶん。」

『全然連絡できなくてごめんね?』

「うん…」

『来週からまた本社だから。』

「優…ギュッてして。」

『ん?いいよ。おいでー。』


優の膝の上に座り、大好きな匂いに包まれる。
ギュッとしてくれている優に思いっきり体重を預けると支えてくれるどころか、そのままわざと倒れてニヤニヤ笑っている優にキスをする。


「おかえり。」

『ただいま。』

「会いたかった。」

『うん。』

「寂しかった。」

『うん。』

「もうどこにも行かない?」

『んー、たぶん?』


もう一回優にキスをしようと近寄ると唇を隠される。
どかそうと手を掴んでも、優の力に敵わず唇は隠されたまま。


「ねえ!なんで!」

『久しぶりだからなんかドキドキしちゃって…』

「毎回ドキドキしてよ!」

『じゃあベッド行く?』

「…行く。」

『ふふっ 織姫様どいてー。』

「彦星様抱っこしてー。」


しょうがないなあと私を軽々お姫様抱っこしてベッドに運んでくれた。
すると何かを思い出したのか自分の荷物をのぞいている。


『プラネタリウム買ってきたんだよねー。』

「プラネタリウム?」

『そう。七夕だから一緒に見ようと思って。』


そう言いながら何か丸い形の物をいじっている。
床に置いたかと思いきや、私の横にドサっと寝っ転がった優が指を指すを方をみると、天井には沢山の星が映し出されていた。


「綺麗!」

『天の川もあるー!』

「1年に1回しか会えないって辛いよね…」

『確かに。今回の出張で身にしみた。』

「連絡全然くれなかったくせに。このまま自然消滅かと思ったんだから。」

『ごめん。麻衣の事大好きだよ。』

「ほんとに?」

『うん。嫌って言われても毎日会いに来るからね。』


星を見ながら会ってなかった分を取り戻すかのようにお互い話続け、気づけば眠っていた。
朝起きるとまだ横で可愛い寝顔を浮かべて寝ている優。
よかった夢じゃなかった…
七夕は終わったけど、もう一つだけお願い事を心の中で唱える。

"もう離れ離れになりませんように"









人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -