[優]
眠たい目をこすりながら2階上の愛しい恋人の元へ。
インターホンを押すとすぐに出てきた。
『遅い。』
「いきなり呼んだの誰だよ…」
『会いたいって言ってたじゃん。』
「でも会わないって言ってたから寝る寸前だった。」
そう言いながら前を歩く飛鳥に抱きつくと、離れろと言われるも抱きついたままリビングへ。
昼ぐらいに連絡した時は会わないって言ってたくせにどうしたんだろう。
「明日仕事一緒だったね。」
『うん。ゆっくり起きるよね?』
「久しぶりにいっぱい寝れる。」
『普段も帰ってきたらすぐ寝ればいいのにゲームばっかしてるからでしょ。』
「だから今日はもう寝ていい?」
『一緒に寝るからちょっと待って。そのために呼んだんだから。』
「そういえば急にどうしたの?会わないって言ってたのに。」
『…たら、…って。』
そんなに離れてないのに全く聞き取れなかった飛鳥の言葉。
もはや気のせいかと思うくらいの小声だった。
「ごめん、全然聞こえなかった。」
『怖いテレビ見たら、寝れなくなって…』
「えー!何それ!可愛い!可愛すぎるよ!」
『うるさ…ねえ、腕枕して?』
「しょうがないなあ。おいで。」
ベッドに寝転んで腕を伸ばすと、いつもよりくっついてこっちを向いて寝転んだ飛鳥にジッと見つめられた。
このまま襲っちゃいたいぐらいに可愛い。
そう思いながらギュッと抱きしめる。
『今、何考えてるか当ててあげよっか。』
「当てれるかなー?」
『襲いたい。』
「当た…っん…」
気づいた時には飛鳥との距離はゼロ。
離れた飛鳥はニヤッと笑っている。
『はい、おやすみー。』
「まじか…」
今の流れで寝るなんて信じられないけど、それが飛鳥なんだよなあ。
背中を向けて寝てしまった飛鳥に抱きつくように手をお腹に回すと、上からギュッと重なった手。
好きと言葉にしてくれることは滅多にないけど、飛鳥なりの愛情表現がちゃんとある。
今日もちゃんと伝わってきた。
幸せな気持ちになりながら目を閉じた。