[理佐]
まただ…
また優の隣には2期生で加入してきた保乃ちゃんがいる。
保乃ちゃんは優の幼馴染らしく、かなり優と仲がいい。
齋藤『寂しいからこっち来てって言えばいいのに。』
「やだ。」
織田『強がっちゃってー。』
「2期生にやきもち妬くなんて先輩としてダサすぎじゃん…」
齋藤『あの優が理佐意外にべったりするなんてねえ。』
優のおかげで2期生とのコミュニケーションが取りやすくなって、助かっているのは確かなんだけど…
織田『幼稚園から一緒らしいよ。』
齋藤『優がオーディション受けたのも幼馴染に言われてって言ってたよね。』
「それが保乃ちゃんか…」
今も2人でイヤホンを耳につけて動画を見て笑っている。
前だったら、私の横で動画を見たり寝てたりしてくれてたんだけどなあ…
しかも保乃ちゃんだけじゃなくて、ほとんどの2期生と仲良くなってるからまた厄介。
ひかるちゃんとか膝に乗ったり、おんぶされたりと可愛がり方がまるで妹の様。
「はぁ…」
齋藤『ため息出るほど好きなんだ?』
「別に好きじゃない。」
織田『好きって言ってあげたら?絶対喜ぶよ。』
齋藤『しっぽ振ってついてきそう。』
織田『わかるー!理佐ーっていいながら笑顔で駆け寄ってきそうだよね。』
齋藤『あっ、2期生いなくなったよ?』
優の方を見るとイヤホンを両耳にして伏せて寝てしまっていた。
そんな優にメッセージを送ると、携帯が震えた振動で起きた優はこっちに笑いながらやってきた。
『りーさーちゃんっ!』
「何。」
『何じゃないでしょ。スタンプめっちゃ送ってきたの誰。』
「だにが送った。」
『えー。理佐じゃないのかあ…あっ!今日お泊りだよ?忘れてない?』
「忘れてないよ。ハンバーグ作るんでしょ?」
ニコニコしながら頷いた優。
久しぶりのお泊りだもん。
忘れるわけないじゃん。
撮影が終わり優と一緒に家に帰る。
ご飯を食べ終わると優はいつもと同じ位置に座り、テレビを見始めた。
そんな優の後ろにまわり首にネックレスをしてあげる。
『んー?これ、理佐のじゃん。』
「うん。あげる。」
『えっ!いいの?やったー!』
「そのかわり毎日つけてね?」
『うん!絶対つける!でもこれお気に入りのやつじゃなかった?』
「だからあげるんだよ。」
ネックレスを触りながら不思議そうに首をかしげる優は、なんだか納得いってない様子。
次の日、一緒に楽屋まで行くもののまた隣には保乃ちゃんの姿。
齋藤『あれ?昨日のお泊りでこっち戻ってくると思ったのに。何も言わなかったの?』
「何も言ってないよ。」
織田『素直に言えばいいのに。変な意地張っちゃって…』
「大丈夫。首輪つけといたから。」
齋藤『首輪?あっ、あれ理佐のなの?』
織田『やることが怖いんだけど。』
「ふふっ 忠犬に戻さないとだからねー。」
だに達とこんな会話をしていると、ネックレスを触ってニコニコしている優と保乃ちゃんの会話がうっすら聞こえる。
『理佐がくれたの。いいでしょー?』
保乃『理佐さんかわいそう。優にべったりされて。絶対ウザいと思ってんで。』
『しょうがないじゃん!大好きだもん!理佐いないと生きていけない!』
保乃『そういうのは心の中で留めとくもやん。』
『保乃はまだファンだもんね。理佐に手出したら怒るからな!』
保乃『この前理佐さんと2人で雑誌の撮影した時、ご飯行こって言われたもーん。』
『あっ!この前送ってきてくれたやつか!ピンクのミニスカートも可愛かったけど、やっぱり黒のシースルーが圧倒的に可愛かったね!』
そんな会話が聞こえて自然と頬が緩み、最近やきもちを妬いていたのが少しだけバカバカしく思えてくる。
2人に近づいて行くと保乃ちゃんが優より先に私に気づいた。
人差し指を口に当てて、優に気づかれないようにゆっくり近づく。
そして両手を優の目に当てて声を変えて一言。
「だーれだ。」
『ふふっ 理佐でしょ?』
「なんでわかったー?」
『理佐の匂いがした!』
保乃『匂いって…犬か。』
『うっさいなあ。』
「保乃ちゃん、ご飯いつ行くー?」
すると優が私も行くと素早く回答をする。
でも無視して保乃ちゃんと会話を続けると拗ねてしまった優。
昨日の自分に言ってあげたい。
もしかしたら、おぜより優を妬かせる人を見つけてしまったかもしれないよって。