[麻衣]


「優、こっちきてー?」

『んー?』

「ここ座って。」

『ん。』

「昨日何していましたか?」

『昨日は…ご飯を食べに行っていました。』

「誰と?」

『美彩さん。』

「優ってそんなレッスン着持ってたっけ?」

『これは…』


言うのをためらっている優。
それもそのはずだってその服は美彩の服。
私はわかって聞いているのだ。
自分でも性格悪いなあと思う。


「優が好きなのは誰?」

『麻衣さん。でも美彩さんも好き。』

「は?付き合ってるのは誰?」

『麻衣さん。』


淡々と答えていく優。
きっと優は知らない。
美彩も優が好きだったという事を。
だから昨日、ご飯に行かせるのも正直不安だった。
お酒入ると何があるわかんないし…
でも2人を信じた。
何もありませんようにと。


「家帰ってないの?」

『うん。美彩さんに泊めてもらった。でもほんとに何にもないよ?』

「そっか。」

『今日、麻衣さんの家行っていい?』

「うーん…」

『じゃあ、今日も美彩さんの家行こっかなー。』

「ダメ。」


仕事が終わりに一緒に家に帰る。
家に入った途端後ろから抱きついてきた優。
いつもなら何もしないけど今日は抵抗して優を引き離す。


『今日、1回もぎゅーってしてくれないじゃん。』

「自分のせいでしょ。」

『まだ怒ってるのー?』

「早くお風呂入ってきて。」

『はーい。』


すぐに優をお風呂に向かわせて、ソファでテレビを見ていると優がお風呂から出てきた。
暑いよーって言いながら扇風機の前に座った優に後ろから抱きつく。


『今暑いのー。』

「いいの。」

『今日なかなか近づかせてくれなかったくせに。』

「だって美彩の匂いするんだもん。」

『あー、美彩さんにやきもち妬いたんだ?』

「違う。」

『素直になりなってー!』


そう言って振り向いた優はわしゃわしゃと頭を撫でてくる。
どっちが年上かもうわからない。
でも優の事になると余裕がなくなっちゃうんだよねえ。


「ボサボサになったじゃん。」

『それでも麻衣さんは可愛いよ。』

「ねえ…美彩とは…」

『何にもないよ。ほんとに。美彩さんの事は好きだけど。』

「じゃあ私は?」

『麻衣さんは大好き。いや、愛おしい。』

「愛してるって事ね?」

『それ自分で言っちゃう?』

「ねえ、愛してるって事だよね?」

『そうそう。愛してる。』


早くお風呂入りなよと優に促されて急いで入り、ソファに寝転び携帯で動画を見ていた優を起こして先にベッドに座る。


『明日仕事じゃん。』

「早く入れってそういう事だったんじゃないの?」

『違う。』

「まあいいや。こっち来て?」


まだ途中なんだけどっていいながら携帯をテーブルに置いた優は笑っている。
すぐに私に覆いかぶさった優。


『麻衣さん。』

「ん?」

『大好きだよ。』

「ほんとに?」

『うん。』

「証明してくれる?」


そう言うと何度も角度を変えて優しく降り注いでくるキス。
離れていく優の顔を両手で挟むと目を見開いてびっくりしている。
そんな優に自分から近づきキスをすると、すぐに口の中に侵入してきた優。


『証明できたかなー?』

「まだ足りない…」

『欲張りだね。』

「知らなかった?」


知ってるよと言ってニコッと笑った優。
久しぶりに一緒に過ごす夜はまだ始まったばかりだ。








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