[麻衣]



「優ー」

『ちょ、見えない。』



私は今大好きな人の膝の上に座っている。
だけど大好きな人はこっちを見てくれなくてテレビに夢中。
最初は視界を塞いでたけど、膝から降ろされそうになったからそれは嫌で、結局肩に顔をのせて視界を空けてあげる。
ブログとモバメ用に自撮りでもしとこ。


『このクイズ難しくない?みんなよく分かるね。』

「優こういうの苦手なの?」

『うん、特にマッチ棒の… あ、飛鳥可愛いー。え、痛っ!』


優の首に回していた手で頭を叩く。
きっと話の途中で飛鳥が映ったんだろう。
確かに飛鳥は可愛いよ?
でもさ、言葉にしなくてよくない?


「ねぇ。」

『なに?』

「飛鳥の事好き?」

『好き。痛っ!何さっきから。痛いって。』

「食い気味に即答するなんてありえないんだけど。」



ごめんごめんって軽く流されたけどまあまあ怒ってるわけで。
テレビから目を話す事もしないしなんなの。
久しぶりに会えたのに…
番組が終わったんだろう。やっと話しかけてきた。


『まーいーちゃーん。』

「ん。」

『怒ってんの?』

「べつに。」

『飛鳥は推しメンなの。』

「じゃあ私は何?」

『大好きな彼女。』

「どっちの方が好き?」

『んー』

「迷ってんじゃん!」


冗談だよって笑ってるけど割とショックで。
推しメンとの好きは違うんだよって言ってるけど、そんなのわかんないよ…


「あっピアス… 付けてくれるんだ。」

『当たり前じゃん。麻衣がくれたやつだからね。』


こういう優しさがたくさんあるせいで嫌いになれない。
むしろどんどん好きになっていく。
雑誌の撮影で付けたネックレスとセットになってたピアス。
ネックレスが可愛くてそのまま買ったんだけど、私はピアス付けないから優にプレゼントした。
メーカーを特定したファンの方がピアス付けないのにってすぐにざわついた。
握手会でピアスどうしたのってたくさん聞かれたなあ。


「優ちょっと動かないで。」

『ん?うん。』


向き合って座っていたのを同じ向きに座り優の耳がうつるように自撮りをする。
うん、うまく入った。
ブログに載せよ。


『顔入ってないじゃん。』

「いいの。」

『もう一回撮ろうよー』

「しょうがないなあ。」



後ろから隙間なく抱きつかれさっきとは逆で優が私の肩にあごを乗せている。
ぴったり顔をくっつけてきてニコニコしながらはい、撮ってーって言ってる。
こうやって甘えてくる感じがなんとも可愛くてたまらない。
つられて一緒に笑っちゃって、2人ともすごい笑顔な写真になった。



「めっちゃ笑ってるね。」

『うん、麻衣は笑ってるのが1番可愛い。』

「ほんとに思ってんの?」

『思ってる思ってる。』

「さっきの今で信用がない。」

『えー。」

「私のこと好き?」

『好き。めっちゃ好き。大好き。』

「ふふっ やったー!」

『麻衣は?』

「好きだよ。」

『大好きじゃないの?』

「んー」

『もっと好きになってもらえるように頑張らなきゃ!』


ほんとは大好きだよ。たぶん重すぎるぐらい。
だってさっきので嫉妬しちゃうくらいだから。
でも言うときっと調子乗るから絶対言わないけどね。














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