[優]



「はぁ…はぁ…」


時刻は23時58分。
ただいま息を切らしながら家に向かって全力疾走中。
間に合うか?
マンションに着きエレベーターを待つ時間がもったいなくて、階段を駆け上がる。
急いでインターホンを鳴らす。



『遅い。』

「ごめん、ギリギリ…」

『アウト。』



時計の針は0時3分を指していて、クリスマスが終わってしまっていた。
ちょっと拗ねぎみで前を歩くねるに後ろから抱きつきながら一緒に歩く。


「仕事長引いちゃって…」

『優が悪くないのはわかってる。急いで来てくれたことも。でも間に合ってほしかった…』

「ほんとごめん。ご飯待っててくれたんだ?」

『ケーキは?』

「それは撮影の合間に買いに行きました。」

『じゃあ、許す。ご飯食べよ?』


ねるが作ってくれていたご飯を食べ終わり、私が買ってきたケーキを一緒に食べながらある事をねるに確認する。


「ねえねえ、サンタさん来た?」

『来ないよー!もう20歳だし?一人暮らしだし?』

「嘘でしょ?」


急いで寝室に向かうと朝置いたプレゼントがそのまま枕元に置いてあった。
時計の横に置いてあるのに気づかないってどういうことよ…
結局自分で手渡しか。
リビングに戻りねるにプレゼントを見せる。


「見てみ?サンタさん来てんじゃん。」

『あ… 今日寝坊しちゃって急いでて…』

「もう… しょうがないなあ。はい。メリークリスマス。」

『あっ!これ!もしかして…』

「そう。お揃い。後ろ向いて?」



そう言ってねるが欲しがっていた私とお揃いのネックレスをつけると、ありがとって喜んでるねる。
でもすぐに困った顔になって苦笑いしている。


『ごめん、何も用意してない…』

「ん?全然いいよ?」

『よくない。何がほしい?』

「んー。じゃあちゅーして?」

『ねえ!真剣に聞いてるんだけど!』

「本気だもん。おいで?」


ねるを膝の上に座らせて首の後ろに手を回すと照れながらも唇に優しいキスをしてくれた。
愛おしくなってぎゅーっと抱きしめると、苦しいよって笑いながらも抱き返してくれるのがまた嬉しくて。


『優。メリークリスマス。大好きだよ。来年はちゃんと一緒に過ごそうね。』

「メリークリスマス。大好きだよ。」



そう言ってもう一度唇にキスを落とした。









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