[優]
「友達になってくれませんか?」
『私ですか?』
初めて見た時からずっと気になっていた子ついに声をかけた。
本が好きなのか定期的に見かけるその子。
「ねえ飛鳥。よく来てくれるけどさ、そんなに読むものある?」
『あるよ。たくさん。』
「漫画は読まないの?」
『あんまり読まないかなー。』
「何探してんの?」
『んー、決まってない。』
そう言いながら今日も新しい本を探す飛鳥。
恋愛ものより人間性の本を読む。
ハッピーエンドよりバッドエンドの本を読む。
変わった子だ。
でもそんな飛鳥にどんどん惹かれていっている自分がいる。
「今度遊園地行こうよ。」
『えー 暑いじゃん。』
「じゃあ水族館。」
『人混み嫌い。』
「じゃあなんならいいの?」
『別に家から出たくない。』
「インドアすぎる。ねえ、やっぱ遊園地行こうよー!」
行かないってばーって言いながら何冊か手にしてレジへ向かう飛鳥。
今日も変わった本買ってんなー。
「ブックカバーはしますかー?」
『しません』
「レシートはいりますかー?」
『いりません』
「遊園地行きますかー?」
『… 。』
そう言いながら遊園地の入場券を差し出す。
少しびっくりしてる飛鳥。
「誕生日おめでとう。」
『え、ありがとう。』
「遊園地行こうよ。絶対楽しませるから。」
『しょーがないなあ。』
渋々受け取りつつも笑顔の飛鳥。
こうやってお祝いされたりするのは好きなんだよなあ。
いつものようにお店の外まで出て手を振ってお見送り。
後ろ姿を見つめながら
"まだまだたくさん君を知りたい"
そう呟いた暑い夏。