[優]



突然お腹の上にのしかかる重みで目が覚めると、目の前には大好きな彼女がしかめっ面で跨っている。

きっと合鍵で入ってきたのだろう。



「おもー」



『おはよ。次のオフ遊ぼって言った。』



「今何時?」



『10時ちょっとすぎ。』



「まだ全然朝じゃん。」



『絶対起きないと思ってた。約束もどうせ忘れてたでしょ。』



「怒んないでよ。」



『別に怒ってないし。どうせ楽しみにしてたの私だけなんでしょ。』



「ごめんってー」




不機嫌そうにお腹から降りようとする麻衣の手を引いて、引き止めるとさらに不機嫌そうな顔。



「おはようのちゅーして。じゃないと起きれなーい。」



『離して。』



「もー、怒んないでってばー。」




そう言ってグッと引き寄せて隣に寝転ばせるとさらに不機嫌に。

背中を向けられてこっちを向いてないからわかんないけど、声が怒ってる。




『ねえ、服シワシワになるから。髪型も崩れる。』



「どんな麻衣でも可愛いからいいもん。」



『…ずるい。』



「何が。」



『なんか優だけいつも余裕そうで。』



「そうかなあ?」



『私の方が年上なのに。なんか生意気。』



「何それー。」



『私だけ好きみたいじゃん。』



「そんなわけないじゃん。」



『ちゃんと言ってくれなきゃわかんないよ…』




あんまりにもぼそぼそ言うから可愛くってたまらなくなって勢いよく後ろから抱きつくと一瞬ビクッとする。




「好きだよ?」



『まだ伝わんない。』



「大好き。」



『まだ。』



「えー。黒石さん出てきたー。」


麻衣のお腹に回してる手をペチペチと叩かれてほーら、早くって機嫌が戻ったのであろう。
さっきとは全然違う声。




「言うからこっち向いてよ。」



『えー』



「じゃなきゃ言わなーい!」




ニコニコと笑いながらくるっと向き直った麻衣。
やっぱり可愛いなあ。

こんな彼女好きじゃない訳ないのにね。




「麻衣の事が世界で一番大好きだよ。


…愛してる。」




そう言うと照れ臭いのか目をそらされる。

可愛いね〜と続けて言うと私の首元に顔を埋めてボソっと呟く。


ありがとう、伝わったよって。










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