恋連鎖 | ナノ



「あ、ハイなんでしょう」



振り返るととても美人な人が「ちょっとお尋ねしたいのですが…」と首をかしげて言う。
あたしはその綺麗さに驚いて思わず裏返りそうな声で

「はっはい…な、何ですか?」

と返す。



目の前の女性は、場所に似合わず着物を綺麗に着こなしていて、清楚な雰囲気が漂う大人の人。
けれどもどこか儚い感じがして

―あれぇ…どっかで見た髪の毛……

と目線を上に持っていく。(何か昨日とデジャヴったな)



そんな結の異変に気づいたのか、喧嘩中の二人は動きを止めて振り返る。

「結どうし………」

「?」

こちらを振り返った総悟と土方は唖然として突っ立っている。
総悟はポツリと

「…姉……上……?」

と呟いたのを結は聞きとると「えぇ!?」と驚いては総悟とその女性を交互に見た。



「そーちゃん…に、十四郎さん…」



総悟の姉は嬉しそうに、しかし反対に悲しげに名前を呼ぶ。確かめるような…。

けれども結にはその三人の間に何かあるように感じて
―――って、え? 何ですかこの雰囲気…
逆に動けなくなってしまった。


「……」

総悟はハッとして、あり得ないものを見ているような表情になる。


「本当に…姉上ですかィ?」


神妙に、目の前の女性に質問をする。女性は寂しげな笑みを浮かべて
「えぇ、勿論」
と答えた。

するとトシは一回舌打ちをすると、あたしたちの方に背を向けてスタスタと向こうへ行ってしまう。



「え、ちょっトシ…!?
あ、あの、ちょっと用事ができたんで…すみません!!」



身勝手だけどあたしはそのままトシを追いかけた。











「……」

「そーちゃん、お話に付き合ってもらってもいい?」


清楚な女性――総悟の姉、ミツバは、自然な言葉遣いで総悟に話しかける。
彼は二人が行ってしまった廊下の奥をぼんやりと眺めたあと、ゆっくりとミツバの方へと振り返る。



「…分かりやした。
 その前に、一ついいですかィ?」



感情の無い声に、女性は静かに頷く。






「貴方は…2ヶ月前に亡くなってやすかィ?」





彼は酷く泣きそうな表情だった。
そして、彼女はもう一度頷いた。





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