恋連鎖 | ナノ

水飲み場は生徒がちらほらと話をしていたり訳のわからない遊びをしていたり…
そんな中



「あれトシだ」



「いつの間にトシなんて呼んでんだよ」
「総悟には関係ないでしょ!」
「なっ俺はなぁ……!!!」



「しっ! 何か重要なことやってるっぽいから…」



本当はいけないと思うけれど、あたしは壁からヒョコッと顔をのぞかせてその様子を見る。


「ありゃー…告白かィ?」


結はそのまま小さく頷く。その後「多分」と付け足した。
でも状況からしてそうだろう。

女の子の方は緊張していっぱいいっぱいな感じだし、対するトシはこれまた複雑そうな顔をしている。


「ま、女子の方はどんまいとしか言い様がねぇな」


じっくり観察をしていると、隣の総悟はニヤリと笑う。

「何で?」

「土方はテメェの事が好きだから振るに決まってんだろィ」

少しムッと頬を膨らませて呟く総悟に対して、結は一瞬固まると視線をそらして顔を赤くした。

「あ、あぁ…そっかぁ…へへ」

「赤くなんな馬鹿」
「うっさい喋んな馬鹿」


総悟の予想通り、トシは女の子の告白を断った。女の子は一礼してその場を去る。


―――なんか怖いなこの光景…

告白っていうのはこんなにも大変なんだっけ?みたいに思う。
まぁ、経験の無い(多分)あたしが言う事ではないけれども…。




「全く、わざわざこんな朝っぱらから告白されるなんて見せ付けてくれるじゃねェか土方コノヤロー」


「ばっお前ら見てたのかよ!!」



自分が告白したわけじゃないのにトシは顔を真っ赤にする。
別に覗くつもりはなかったんだけど…ねぇ、入り込む空気でもないし?と、一人胸中で言いわけしてみる。
結は「ごめんなさい…」と小さく謝った。



「で、何でィ? 自分は結が好きだから付き合えませんーって言ったのかィ?」

「それは言えねーよ。普通に断っただけだ」

「あーやだやだ、これだから恋多き男はヤダねィ。
結、いつかコイツ遊び人になるみたいだから今のうちに振っときなせェ」
「え…」


あたしが返事に戸惑うと、いつものようにトシが総悟に掴み掛かって

「テメェいい加減俺の悪口やめてくんねぇか?」


と瞳孔を開いて言う。
本当に怖いから勘弁してほしい。いや、瞳孔開いてるのはいつもの事なんだけれどもね…?


けれど、総悟はそんなのをものともせずに
「いいじゃねェですかィ。ただからかってるだけでさァ」
と表情を変えずに言うからまたすごい。

まぁこの流れからすればまた喧嘩になるわけで…いつもそこまで大変な事態に発展するわけじゃないからあたしは放っておいて見守る。




「あの…すみません」


「?」



そんな中、ふと声をかけられた。






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