恋連鎖 | ナノ
「あ゛」
「おはよう結」
朝学校に来てみれば、つい昨日会ったインパクトの強い神楽ちゃん兄が、謎の空席…(つまり、あたしの席の右後ろだったのだが)彼はそこに座っていた。
ひらひらと手を振る動作を見て一瞬固まってしまう。
不良の喧嘩にたった一人で乗り込んでいったくせに、どこを見ても傷一つない笑顔で平然と座っているとは…恐ろしいよ神楽ちゃん兄よ。
「まぁまぁ座って」
人事のようにまたヘラッと笑う彼の言う通りにあたしも座る。
―――教室がいつもより静かめなのは…この人のせいだろうか。あれ、そういや名前聞いてないや
あとついでに思ったのが、神楽ちゃんがお休みという事。
いつもはあたしよりも早く学校に来てるはずなのに…熱かな
「そういえばさ、俺名前言ってなかったよね」
「…はい」
「俺は神威っていうんだ。神楽の…ってもう知ってるか。その様子じゃね」
何で分かったんだこの人。
そう心の内で呟くと、
「なーんか分かっちゃうんだよねぇ、君の顔を見てると。
ん―――…なんていうか、一目惚れ?」
「何ィィィィイイイ!!!?」
教室にいた男子が…いや、ほぼ全員口をそろえて叫ぶ。
目の前の神威は「え、どうかしたの?」と周りを見る。
ついでに結も同じように疑問に思っていた。
春に起きた不思議なお話
むかーしむかし……あれ、違う?