ちょっと勘弁してくれませんかね






ぱたり。





小さな古本屋の店内に小気味のいい音が響く。
店の店主が読んでいた本を閉じた音だ。
狭い店内で響いたその音に反応するお客さんはいない。そもそもお客さんが一人としていないのだから当たり前だろう。


(まぁ、その方が楽なんだけど。)


ふぅ、と溜め息をひとつこぼして本をしまう。どうもやる気が出ない、今日は店仕舞いだ。
そう考えると後は簡単だ。店のドアに「close」の看板を立ててカギをかけるだけなのだから。
店仕舞いした後は昨日買った本を読もうか、それとも締め切りの迫っている原稿の筆を進めようか、あぁでもそれはそれで面倒臭いななどと思案していると




ガタガタッ!!ガタンッ!!!!



店の入口近くから物音がした。


「……?客なんて、いたか……?」

確かに客は一人も居なかったはずだ。もしかしたら泥棒かもしれない、と思い、近くにあった箒を手に取る。
そろり、そろりと近づくと、


「…は?小猿…?」
「うぐ、うぐぐぐぐ…っ」
「うわ、喋った」

そこには頭を押さえて蹲る小猿、もとい子供がいた。



.



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