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にょたいざ
いちゃラブですが、一部愛ある暴力表現有り






――深夜の新宿。
眠らないこの街は喧騒に満ちている。愛しい人間達が溢れる道をスキップ混じりにスイスイ進む。
「奈倉さん―」
背後から偽名で呼ばれ振り向くと、視界が暗転した。




「ん……っ!」
差し込む朝日で目覚めると、ソファーで寝落ちしたらしく体中が痛い。とりあえずコーヒーでも飲も。
立ち上がったらストンとズボンが落ちた。
「へっ!?」
驚いて下を向くと、視界に入るは胸の膨らみ。服の上から恐る恐る触れると柔らかい。少しムズムズするのは人工物では無い証。
てゆうか下は!!!?
「……ウソ」
胸とは逆に真っ平らな股間。
俺は男であることにアイデンティティを見出すような心狭い人間じゃない。むしろシズちゃんとのセックスじゃ女役だし、性別へのこだわりは薄い方だ。
とはいえ、これは流石にショック。
昨日何があった?思い出せ、俺!!
新宿まで来たことは覚えてる。でもその先が曖昧。
二日酔いのような感覚で頭痛がする。クソっ!
腹立たしいのは女になったことじゃない。俺の意図しないところで何かが動いたことだ。


「あら、おはよう。朝から気持ち悪いわね」
「波江さん!!」
下を履いてない俺を侮蔑するような眼差しの波江さんが天使に見えて、抱きつく。
「何?私、誠二以外を抱きしめる趣味は無いの」
俺だって抱き締められるのはシズちゃんだけで良いよ。って、そうじゃない。
「ね、見て!」
波江さんの手をとり、自分の胸へ持ってく。
「!!」
流石のクールビューティ(笑)波江も硬直。
そんな波江さんに今までの流れを説明した。


「心当たりは?」
「有りすぎて分からないよ」
「それもそうね。部屋の防犯カメラは確認した?」
「それだ!」
当たり前のコトに気付けないなんて、やっぱ少し混乱してるみたいだな俺。

波江さんとPCで確認すると部屋に黒服が数人入ってきて、気を失ってる俺をソファーへ寝かせる。
「ご愁傷様。これ、ネブラの社員よ」
画像を拡大した波江さんが忌々しげに呟く。
とゆうことは森厳か。部屋を物色する気配もないから首が目当てでは無さそうだな。

「波江さん。鍵屋と掃除屋、手配しといて」
「分かったわ」
「ちょっと出掛けてくるよ」
「待ちなさい」
波江さんは自分のクローゼットから真新しい下着と、洋服を数点取り出す。
「泊まり込んだ時の予備。サイズが合うか知らないけど、無いよりマシでしょ?」
「優しいね、涙が出そう」
波江さんに甘え、服を借りる。ちょっと胸がキツいけど、黙っておこう。



全体的にサイズダウンしたようで、靴まで波江さんのを借りた。ブラウスにカーディガンを羽織り、タイトスカートっていうOL気取りの服装で到着した池袋。
ネブラのキチガイ親父は電話が繋がらないので、目指すは変態馬鹿息子。




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