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シズちゃんて、本当意味分かんない。
昼間はロシア女といちゃついて、夜は俺?
うわ、ヤリチン。
しかもさっきまで地球滅ぼしかねない空気だったのに、いきなり目蓋に優しいキスされた。壊れ物を扱うように、そっと。
リップ音がして、離れてくシズちゃんの顔。ビックリして視線が外せない。

「なんで泣いてんだ?泣きてぇのはこっちだよ」
「はは。何いってんの?泣く理由なんてないじゃないか」
そうだよ、理由なんてない。俺達はそんな関係じゃない。セックスだってケンカの延長みたいなもんだ。相性がいいから続けてるだけ。
「俺はお前が他のヤツと寝るのは嫌だ」
違う。もっとドライだ、俺達は。
「はっ!なに?唾つけたメスは自分のモノ?本当、獣だね!」
嘲笑うように口元を歪ませ、罵る。シズちゃんが嫌いな俺の顔。

「そんなんじゃねぇ!」
また襟元を掴まれる。白い息がかかるのが、不快。
「離してよ、気持ち悪い。セックスする相手なんていくらでもいるだろ?昼間のロシア女にでも慰めてもらいなよ」
冷めた視線を送り、襟元の手を払いのける。
「あぁ?アイツは後輩だ」
知ってるよ。情報屋舐めてんの?



「もしかして昼間の、嫉妬したのか…?」
沈黙は肯定。
こんな時だけ勘がいい。
気付かないでいろよ。
嘘。気付いて欲しかった。
自分の気持ちなんて、随分前から分かってる。
知らないふりしてただけ。
だって、そうしないと、貪欲な俺はシズちゃんの全部が欲しくなる。

「臨也…」
優しい声色で抱き締められて、また目の奥が熱くなる。

「離して」
「断る」
「なんで?」
「好きだから」
俺が言えなかった一言を簡単に言う。

「嘘」
「嘘じゃねえよ」
震える肩を掴まれ、無理矢理目を合わせられる。
「お前がどう思ってようが構わねぇ。俺は好きだ」
「…っ」
真っ直ぐに言われて、息が詰まる。吐きそうだ。
「シ、ズちゃん」
俺も好きだよって心の中で言って、肩を掴むシズちゃんの手を取り口付けた。




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