ブリキの心臓 | ナノ

あとがき


私にとってこの世で一番身近でないものは『死』だと思っています。
ニュースで絶え間なく流れてくる死や歴史の教科書を漁れば嫌でも目につく死。けれど隣り合わせというわけでは決してなく、私は生きてきて一度だって、死にかけたことなどありません。あ、待ってください。一度だけありました。餅を喉に詰まらせたのです。あのとき死ななくて本当によかったですよ、ええ。

『ブリキの心臓』は、そんな死を誰よりも身近に感じ、生を誰よりも慈しんだ、そんな女の子の話でした。
呪いなど世界観がゴチャゴチャしていたかもしれませんが、私はとても満足のいく仕上がりになったと思っています。
連載してから一年足らずで完結にまで持ってきてしまいました。本当に自分でも驚きです。速筆なのはいいことですが、誤字が多いのではと心配になりますね。

読んでくださった方は、微妙なところで終わったと、お思いになるかもしれませんね。シオンたちとは結局どうなったの、誕生日パーティーは、不老不死ってなに。全部ご想像にお任せします。ただ一つ言えるのは、アイジー=シフォンドハーゲンというこの物語の主人公は、間違いなくハッピーエンドを迎えたということです。
これは私にとっても途方途轍もなく幸せなことです。ブリキの心臓を書いていたこの数ヶ月間、本当に楽しませて頂きました。

愛をこめて。心からの感謝を。
アイジー。
生まれてきてくれてありがとう。

では私からも白鳥の歌を。


――これてにてひとまず、別れを告げることとしよう。





2014.07.26


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