「三和、お前よく櫂トシキと話せるよな」
クラスメイトの奴にそう言われるのは別に今に始まったことじゃない。
櫂は無愛想で協調性がなくて、いつもツンツンしてる。俺は昔から櫂を知ってたし、帰ってきてちょっと性格変わったけど根本的なところは何も変わってないからそんなの大した問題じゃないと思ってる。
けど他の奴らからすれば結構ムカつく態度とかとってたり…ほら、マケミとかに対してとかまさにソレだよ。
けどアイチと再会してから少し丸くなった気がする。学校で俺としか喋らないのは相変わらずだけど、他人に対して向けてたトゲというか、敵意みたいなものがほんの少し和らいだ気がするのは俺の気のせいか?
いや、でも何だかんだでアイチたちと仲良くやってるし…あれ?俺の立ち位置ヤバくねぇ?
「あれ?マジで?」
「おーい、三和帰ってこーい」
やっぱアレか?
運命的な再会を果たした二人っていうのは強く惹かれるもんなのか?
アイチはずっと櫂のこと追い掛けてるし、櫂はそんな気ないように見えるけどアイチのこと気にしてるみたいだし………………。
あ、やべぇ。何か胸の奥から何かが沸々煮えたぎってくる。
「三和、帰るぞ」
「あ?…あーあ、そうね、うん。」
何か変な返事しちゃったけど櫂怒ってないか?
…うん、大丈夫みたいだな。どうせ今日もカードキャピタル行くんだろー。
「なぁ櫂。今日も寄って行くか?」
どうせ短く「ああ」と返事が返ってくるだろうなーと思いながらもついつい問い掛けてしまう俺。
「……いや。」
櫂から返ってきた返事は確かに短いものだったけど……否定とは意外。
「じゃあー俺んチ来るか?」
なーんちゃって。
「…そうだな。」
「えっ、嘘マジで?!」
冗談のつもりで言ったのに櫂、まさかの同意?!や、やばいどうしよう…
「なんてな。」
「………はい?」
「冗談だ。今日は帰る」
「…あそ。」
何だよ櫂のくせに冗談かよ!似合わないことすんなよビビったじゃんよ
すげぇ喜んで損したじゃんか。
「三和、また明日な」
そう言った櫂は、昔と同じような…少し違ったけど俺にしか向けない、小さな笑顔を俺に向けて
「明日はお前のウチ、行ってやっても良いぜ?」
そう言って、軽く、ホントに自然に俺の唇に、そっと口付けた。
「じゃあな」
櫂、それは反則っしょ。
ほら、俺の心臓すっげぇドキドキしてる。顔も多分真っ赤。ジンジンして痛い。
イタズラ好きな奴を好きになるとホント苦労するなぁ…
アイツのために今日は部屋の掃除でもしますか。