雨が、
雨が、降っていて
頬に雫が一筋
それが、雨なのか
それとも、涙なのか
「かーい!帰ろうぜぇ!」
「ああ」
退屈な授業がようやく終わって俺は即櫂の席に向かった。
櫂はいつもと変わらず涼しげに短く返事をして鞄を手にする。
「今日はカードキャピタル寄って帰るか?」
「…ん。」
コレもいつもの光景。
学校帰りにカードキャピタルに寄ってアイチたちと話して、カードファイトして、帰る。
「よぉ、アイチー!」
「三和くん。…か、櫂くんも!」
「…よ。」
櫂はアイチと再会してから多分刺が少しなくなった。
いい意味で変わろうとしてるんだろう。それは俺にとっても櫂にとっても良いことだし、友人として、こ…恋人?としても嬉しいことだ。
櫂の世界が少しでも広がるなら嬉しいしな。
「櫂くん、今日は僕とファイトしてくれる?」
「あ、ああ。」
(今少し櫂、戸惑ってなかったか?)
気のせいかもしれないけど、いつもの櫂とは違った気がする。何かを、怖がってるような。
「僕の勝ち、だね?」
「…ッ」
「この間からの約束、守ってくれるよね、櫂くん?」
アイチの顔が一瞬、すげぇ怖い顔になった…気がする。
櫂も顔色が悪い。
「ごめん、三和くん。ちょっと櫂くん借りて帰るね!」
「あ、おいアイチ!櫂!」
いつもの笑顔を振りまいてアイチは櫂の手を引いて店から出ていく。
それからしばらく俺はカードキャピタルでぼけーっとしてたけど妙な胸騒ぎがして俺は店を出た。
俺は妙に焦ってた。
わからないけど、今日の櫂はおかしかったし、アイチも……。
とにかく走った。
がむしゃらに走った。
途中雨が降り始めてびしょびしょになったけど全然気にしなかった。
「……?」
高架下に人の影を見た。
隅に踞って、服も乱れている。
ゆっくりと近づけばそれは見知った後ろ姿で
「……櫂?」
着ていた制服はグシャグシャで、見える肌には擦り傷や痣が見えた。
絶対に泣かないんだろうと勝手に思っていた目からは雫が流れて
どうしていいのかわからなかった。
どう声をかけていいのか、そもそも声をかけていいのか。
ただ、俺はそんな櫂を遠くから眺めることしか出来なかった。
ああ、俺はなんて無力なんだろう…
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あえて中途半端に終わらせてみた。私の書くアイチは何故こんなに酷いヤツなんだろうか?