「豪炎寺」
鬼道は隣で寛ぐ豪炎寺に擦り寄って囁いた。
「俺がお前の事を好きか、尋ねたりとかはしないのか」
豪炎寺は一瞬困惑したが、どこと無く鬼道の示唆していることを察知して尋ねた。
「鬼道、俺の事好きか」
鬼道は紅色の切れ目をにんまりと細め、笑みを浮かべて応えた。
「勿論。豪炎寺が好きだ」
「じゃあ、どれくらい好きなんだ?」
鬼道はしばらく俺を見つめていた。俺は隣に座る鬼道の腰を片手でそっと抱き寄せた。
「そうだな、」
鬼道の肩に俺は頭を乗せた。すると重心がこちらに傾き、鬼道は俺の髪に自分の顔を乗せる。仄かに呼吸する音が聞こえた。昨日シャンプーをちゃんとしたか少し心配になった。
「春奈と総帥の次くらいかな」
俺は一旦退き、今度は鬼道をずらして後ろから抱き着いた。鬼道がもたれ掛かったので、俺は両手をお腹に手を回らせた。
「豪炎寺は俺の事好きか」
くすぐったいであろう距離で耳元に囁いた。声はなんとか抑えた様だが一瞬だけ垣間見えたい気持ち良さ気な豪炎寺のカオを鬼道は見逃さなかった。
「勿論」
「じゃあ、」
「勿論、夕香と父さんの次くらいかな」
すると鬼道は笑って唇を重ねた後に言った。
「嗚呼、これだから俺はお前が大好きなんだ」





互いに大事なものが前提にあるけどそれでも保てる距離感のバランスの良さが豪鬼らしさだと思う。
title:にやり
110220