夜空が薄く朱色を帯びてきた明朝、一夜を明かして眠気も消え失せるような事の後、先程の荒々しさなど無かったかのように二人とも静かに天井を見つめ、時折口を開く。さっきのどうだった、だの特に重要でもないように、二人ともぼんやりと。
「いつも通りだった」
「そう」
「いつも通り痛かった」
「悪い悪い」
このやり取りも慣れてしまって。でも愛おしいのは変わらない。それが分かるのが本当は最中ではなく事後なのだとわかったのは最近だった。
ほら、きた。
「不動」
こいつが事後に雄弁になるのは恐らくこの為だ。
「明日、いや今日の事なんだが、」
するり。
投げ出していた左手に指が絡んでくる。多分自然に手に触れたいんだろうけど逆に分かりやすいっつかなんつーか。
「午後のメニューは、んっ」
愛おしいのとベラベラ煩いのと可愛すぎるのと面倒過ぎるのとをない混ぜにして一括で解決させた俺天才。
キスしてる間、鬼道は少し口角を上げていた。そんな気がした。





title:白々
110126