ぎしぎし。
息遣い、なんて可愛いものでなくてもっと人間から離れた、敢えて言うなら叫び声に近いその呼吸は暖かい昼下がりに余りにも不釣り合いだった。罪悪感を感じるほど、晴れ晴れしい窓の外の景色が清らかに見えた。同じ温もりでも陽光と体温では余りにも湿度が違う。万が一壁や窓硝子から漏れた嬌声が道行く人の耳に留まり、この薄いレースのカーテンの編み目からうっかりこのふしだらな行為を一瞥でもされようものならこの恋人はきっと羞恥故に一生日の出るとこには出ないと言い張るだろう。が、俺にはそのスパイシーでスリリングな綱渡りがもはや快感になりつつある。いや、俺の独特の緊張感を感じ取って怯えている恋人を見て加虐心をそそられているだけなのかもしれないけど。
ぎしぎし。
今日も俺の恋人は、幸せそうに怯えてる。






title&word にやり
101204