付き合ってきっかり一年。倉庫で告白した日から待ちに待ち侘びた365日後、部活が終わって一人倉庫に用具を片付けていると、人の気配がした。振り向くと鬼道さんが立っていた。部活とは全く様子が違ってスイッチが入ったかのように、突然に、反偶発的に始まった。
「佐久間」
恐らく二人以外誰もいないこの建物の静寂をやぶったのは鬼道さんだった。何も言わずに抱きしめてきた鬼道さんの眼は普段の眼でも試合中の眼でもなかった。真っ赤なルビーが眼前にあり、睫毛の先がくすぐったい距離にいる。
「鬼道さ」
「   」
黙れ、と囁かれた瞬間唇が重なった。口内で動く鬼道さんの舌の感触がじんじんと顎から首筋へと伝導していく。伝わった所から熱くなる。心臓が全身を波打つ。足首から微弱な電流の様な感覚が脚の付け根まで駆け上がる。駄目です、ダメです鬼道さん、そんなキスされたら、
「さく、」
堪えられなくなっちゃいます。






101129
title にやり