※豪炎寺がマゾ

豪炎寺は踏まれるという行為に快感を覚える人種らしい。その行為を望まれた俺は一瞬身震いがした。しかしその性癖に付き合うのも恋人の役目というものだろう。休日、仕方なく豪炎寺の家に赴いた。父親はしばらく学会で家を空けているらしい。準備は万端というわけだ。
普段の熱い眼差しは涙で濡れ、頬は熱を帯びて、息を荒げる豪炎寺は素晴らしく滑稽だ。それは何よりこの俺が、俺の右足が奴の背中を踏むという行為によって引き起こされているからだ。背骨の感触が足の裏になんともむずかゆくもあり気持ち良くもある。リズミカルに、たまに抑揚をつけてシーツに押し付けるとさらに豪炎寺は溜息のような声を吐き出す。こんなことで興奮するのかと尋ねると、あぁと聞こえたがそれが返事なのか喘ぎ声なのかはいまいち分からなかった。
しばらくして長い時間同じ場所を踏まれるのも飽きるだろうと思い、豪炎寺に次は何処がいいか尋ねると、堂々と名称を宣言するので少なからず俺は呆れた。この変態め、と罵倒を浴びせて横腹を蹴り飛ばす。醜く呻いて四つん這いを崩して仰向けになった豪炎寺のジャージの繋ぎ目を足元から上へと足の指でなぞっていくと、じれったそうに身体をよじらせた。脚の付け根辺りに到達した所で動きを止める。言われるままにしても芸がない。普段、さも犯すように抱きまくり挙げ句翌日俺に腰痛を被らせる原因にささやかな仕返しをする絶好の機会でもある。ここは散々いたぶって散々喘がせて喉を枯らせてしまおうか。いや他に何かもっとないだろうか。さぁて何をしてやろうか。考え出したらとまらない。ふと思索に悦っていると豪炎寺が俺の右足を掴んだ。バランスを崩してベッドに倒れると豪炎寺が馬乗りになってきた。SMごっこはおしまいかと言うと、踏まれている間、お前を犯す事だけを考えてたと吐かした。どこまでもお前は変態だ。

*吐=ぬ
101114
title:エッベルツ