傷だらけの指先
違う、違うよ。
彼女はただただ否定的だった。
違う、違うよ。
何が、
そんな否定は不要。
俺は否定を聞いているんじゃないから。
「愛してる」
「嘘、」
「俺が嘘を言うような男に見えるのかな?」
「いつも、嘘ばかりのくせに」
「情報屋は、簡単に自分の情報を教えないよ」
でも違う。
君には真実を言っているのに。
何で分かってくれないのか。
「君は俺が嫌いなんだね」
「、違う」
「何で。そう言うことだろ?俺が嘘吐きだから、君は俺を好きになれないんだ」
「違う、違うの。そんなんじゃないの」
泣くなよ、
君はこんなにも俺の心臓を鷲掴みにしておいて、なのに俺の言葉、態度、感情ひとつひとつを見てくれないから、だから、だから
「好き。でも、信じられない。嘘吐きは怖い」
「なら、嘘吐きじゃなくなれば信じてくれるの」
「そんなの、臨也じゃない」
もうわけが分からない。
何で。
君は俺に嘘をやめて欲しいんじゃないのか。
なんだよ、"臨也じゃない"って。
こんなにも人間の感情で悩んだのは初めてだ。
分からない。君が分からない。
どうして欲しいのか。
俺はただ、君を抱きしめることしかできない。
傷だらけの指先もうストレスで手がボロボロだ。
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Que sera sera
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