1+1=1

───食べあって、治ったら、別のところ。

私はあの子の腕に歯を立て抉り、その肉を噛み千切る。代わりに自分の腕の同じところにも、深く抉られる痛みが走る。
何も無い部屋の中。毎日誰からの干渉も受ける事なく、ただあの子だけを瞳に写し、体温を感じ、互いの肉を貪り嚥下する。
だから私があの子に食べられた所は、あの子を食べた肉で修復される。あの子も同じ。あの子の私が食べた所は、私を食べた肉で修復される。
こうして少しずつあの子は私に、私はあの子になるの。
昨日は首を。
今日は腕を。
明日は脚を。
あの子の身体総てを貪っていく。
一周して、二周して、どっちがどっちだったか私達にも分からなくなって尚も。繰り返し、繰り返し。
二人のままで、一人になるの。

───私はどっち?あの子はどっち?

目の前にある顔とその瞳に映る顔は、もう私達にも区別がつかない。
嗚呼。なんて幸せな瞬間。
これがどっちの思考かも分からない。
でもいいの。それがいいの。

───これは確かに、×××の望み。


end

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