墓荒しましょう
5

墓守さんが徐に地面の礫を拾って弾けば、その礫は墓荒しさんの額をぶち抜き泥棒さんの心臓へまっしぐら。

「あぐっ!?」

その素早い行動に対応出来なかった泥棒さんは墓荒らしさん諸とも崩れ落ちます。

そして見事、二人は動かなくなりましたとさ。

めでたしめでたし。









なんて。
この話にはまだ続きが有りました。

墓守さんが適当に空いていたお墓を見繕い、死んだ泥棒さんをそこに埋めていると。
不意にむくり。と墓荒しさんが起きたのです。

「痛た。…アレ?俺は今まで何を…」

なんと墓荒しさんはまた動き出しました。
額に墓守さんが開けた風穴が有ろうとお構い無しです。

何たってゾンビなのですから。

その上、墓荒しさんは都合良く死んでからの事。つまり、ゾンビになってからの事をキレイさっぱり忘れていました。
これはチャンスと思ったのが墓守さん。

死んだ自覚が無く、生前の家にも死後の墓にも帰る事が出来ない墓荒しさんが助けを求めて此方を見ているのです。

墓守さんは状況を呑み込めない墓荒らしさんを口八丁手八丁で丸め込み、見事に自分の墓守の助手にしてしまいました。

お陰で墓守さんを良い人だと信じて疑わない墓荒しさん改め助手さんは、墓守さんを慕ってお手伝いに精を出します。

そんな墓守さんと助手さんの手でこの墓場は今日も守られているのです。



…余談ですが、助手さんを殺したのは墓守さんなのですが忘れてしまっている様です。
しかもゾンビになった助手さんが探していた彼自身のお墓は、墓守さんが丁度空いているからと泥棒さんで埋めてしまっていましたとさ。

めでたしめでたし。


end

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