墓荒しましょう
1

何処かの世界の何処かの墓場。

一人の墓荒しさんが居りました。

しかし、彼の目的はお墓に埋まった金品等ではありません。

ちょっと腐った彼の目的。



それは自分のお墓を見付けて、"今度こそ"安らかな眠りに就く事なのです。









「嗚呼…。ここも違うなぁ…」

既に眠っている人が居るや。とお墓の蓋を開き溜め息を吐くのは先の墓荒しさん。

と言うのも彼は何日か前にこの墓場の何処かに埋葬された故人でしたが、ゾンビとして生き返り自分のお墓から起き抜けてしまったのです。

しかし生き返った直後は頭が回って居らず、散々歩いている内に覚醒してしまいました。

なので残念な事にその間の記憶は曖昧で、生前の記憶に至っては未だ完全に喪失したままなのです。

自分が何処の誰なのかが分からない事自体は構いませんが、する事もないからお墓に帰って安眠したい。しかし何処に埋葬されていたかが判らない。

ならば自分のお墓を探そう、と言うのが今の彼の行動理由なのです。

「はぁ…」

こうして彼の墓荒し…否、家探しは今日も続くのです。

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