欠席理由

「あー…今日はスナイパーに狙われてるんで休みます」

登校した矢先、A君は担任の先生にそう言った。

「はぁ!?」

先生は意味が分からず声を上げたが、A君はそのまま教室を出て行ってしまう。
本当にそれだけを伝えに来たようだ。



それから職員室で。

《もしもし?今殺し屋に後を付けられているので遅れます》

今度はB君から学校への電話があった。
遅刻の旨を丁度教室から戻って来ていた先生に伝える。

「なっ…」

ここでも先生は意味が分からずに言葉に詰まってしまう。
そうして先生が応える間もなく、用件を伝えたB君は電話を切ってしまった。

暫くしてA君とB君はクラスでも仲が良かったな、と思い出した先生は二人に似たような理由で担がれたのだと思い至った。



「あのー、報酬の件で再度念押したいので早退します」

それから。
先生が立ち直り教室に戻ると、C君が待ち構えていてまだHRも済む前から帰ると言い出す。

「なんの!?」

絶句し硬直する先生を余所に、C君は動じることなく先生の脇を抜けて帰ってしまった。

C君も先の二人と仲が良いことを先生が思い出すのは暫くしての事である。

そんなこんなで三人がその日の内に再び学校に姿を現すことはなかった。



次の日。

「いやぁマジで殺されるかと思ったー。起きたらいきなり脳天にポインターがあってさー。防弾ガラスにしといて良かったわー」

と、ファストフード店でポテトをかじりながら笑うのはA君。

「あの後もしつこくて結局学校行けなかったし。あんな時間に徨いてたから俺がお巡りさんのご厄介になっちゃったし」

と不貞腐れるのはハンバーガーを食べ終え、その包装紙を手で弄んでいるB君。

「えー良いじゃん。俺なんて折角報酬弾んで腕利きに依頼したのに二件とも失敗されちゃってさ。…まぁ成功報酬払わずに済んだから懐温かいままなんだけど」

やれやれ、と愚痴っていたC君だが項垂れる二人を見て財布を持ち出し笑った。

「しゃーない、今日は俺の奢りだな」
「「よっしゃぁ!!」」
「ただし追加注文なし。」
「「ケチ!!」」


end

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