Ch.

大きな液晶画面で下界を眺める暇な神様がここに一人。

優雅にソファに座りつつリモコンの無数にあるボタンを適当に押しては目欲しいCh.(チャンネル)を探す。

「あー。何処もロクなもんやってねぇな…」

人間を映し出す画面は何処も在り来たりな生存競争しか繰り返さない。
かといって折角人間以外の生物Ch.に合わせても最近では何処かしらに人間が写り込む。

「ちっ。ウゼェな人間」

進化の過程の頃は視聴率が歴代最高を記録する人気番組だったが 一段落して続編が決まってからは無理繰り感の否めない。
様々な類似番組は在ったが大概打ち切られた。

「おっ。そーいやそろそろ日暮れの時間じゃねぇか」

何処だっけか。とポチポチ目的のCh.を探していると 突然横からひょいとリモコンを取られた。

「よー。これから朝日の時間だから席借りんぞ」
「はぁ!?」

やっと見つけたCh.を意図も簡単に切り替えられてしまう。
後から来たこの神様は普段からこのCh.しか見ていないから慣れたものだ。

「テメ、今日は夕日が特番なんだよ!返せっ」
「イヤだね。お前は今まで見ていただろうが。こっちも特番なんだよ」

ぎゃいぎゃいリモコンを取り合う二人。

「テメェは人間でも見てろ」
「それはお前の方だろうが」

「ストーップ!」

騒ぎを聞いてまた一人。
呆れたように入ってきた神様はリモコンを二人から奪うと躊躇無く画面に向かい投げ棄てた。

「「あーーーっ!?」」
「五月蝿ぇんだよ莫迦共!俺は新世界創造がやっと終わって疲れてンだよ。寝てぇんだよ」

イライラと話す神様はリモコンが木っ端微塵になったのも 画面が止まったことすら気にしない。

と 不機嫌極まりなかった神様はふと口許を歪めた。

「お前等は本当に暇してんな」
「しょうがねぇだろ。最近飽和状態で目欲しい番組が無ぇんだよ」
「如何にも」
「そんなお前等に朗報だ」

ばっと眼前に何かを突き付ける。
それはどうやらポスターのようだ。

「舞台は整った。俺の監督(創造)した世界はその画面に在る人間界にも出演してもらう超大作だぜ」

意気揚々と説明を開始する神様。

変化を待ち望んでいた二人はその話に見事に食い付いた。

「今回の生命体は超攻撃型だ。進化は地球まで辿り着く物体を造り上げる侵略者にする!」
「ほう。それは興味深いな」
「"新型VS人間in地球"!!お前ら視聴者にはどっちが勝つか賭けてもらう」
「参加型だな!」
「あぁ。リアルタイムでネットに流す!お前らもそんなん見ないでPC見やがれ」
「おう!」
「丁度壊れてしまったしそうするとしようか」

そして三人は部屋から出て行った。








その頃地球では。

『ニュースの時間です。一昨日から突然我が国では無い筈の白夜のような状態が続いていた現象ですが 他国でも同じように太陽の位置が変わっていないことがわかりました。原因は不明で未だ解明されておりません。なお 一部では地球崩壊の前触れ等の様々な憶測が飛び交っております―――』






侵略者の誕生まで後―――――


end

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