知りたがり




「君の才能を教えてよ!本当はわかってるけど、それはとても凄い才能でボクみたいな大した才能も無い奴に教えたくないんでしょ?それで他のボク以外の希望に満ち溢れている人達にはしっかり教えたんだよね?いいなあ…ボクもちゃんとした才能があればなあ…。これから別の凄い才能でも身に付けたら教えてくれたりする?あ、でもボクなんかがそんな凄い事出来るわけないよね…ははっ」
「……。」
凄いよこの人。今の台詞を一息で言った。
私は名字名前。現在、南の島に連れてこられて、皆から自己紹介を求められている最中だったのだが、一人しつこい男がいた。やけに食い付いて来るというか…。
「ひとつ質問してもいい?」
「? ボクに答えられる質問だったらなんでも聞いてよ名前サン!」
「え…?えっと、なんでそこまで私の才能知りたがってるのかなって…」
狛枝くんは一瞬真顔になったかと思ったら、明らかに作っている笑顔で
「それはボクがどんな踏み台になれるのかを探るためにね!他の皆にはまだ内緒だけど、キミだけには言っておこうかな。ボクはね、皆みたいな希望の象徴の力になりたいんだ!!希望の象徴である皆はクズみたいなボクと同じ生活をしているべきじゃ無いと思うんだよ… だからいっそ皆で力を合わせて殺してもらいたいと思ってるんだ!希望の象徴であるキミ達に殺されるなら本望だしね、皆がそれぞれの才能を使ってくれたら嬉しいなって思って皆の才能が知りたかったんだ」
「………そ、そうなんだ。でも私は覚えてないから教えられない。他の皆にも教えてないし。教えられなくてごめんね…。」
少し怯んでしまった。情けない。それも気にせず狛枝くんは、
「いいんだよ名前サン。それじゃあ、いつか思い出したら一番に教えてね!」
と、いって私の前から走っていなくなってしまった。多分今、彼は私の超高校級の力の想像を脳内で繰り広げているのだろう。スキップしてるし。
でも私の才能は絶対に教えられない。黙っていないと、今までの迫真の演技が全て水の泡になってきっと処刑が下される。
私の才能は、超高校級の記憶力。だからこうやってゲーム内に入った後でも皆の今までの絶望していた時の事も、前の事も覚えている。私もかつて江ノ島に乗っ取られたと言うことを装って絶望的な活動をしていた。いつか、未来機関が助けてくれるような、そんな気がして。そして未来機関に保護されてゲームに入る直前に未来機関の人に、私の才能はトップシークレットって事でよろしくって言っておいたから江ノ島のアルターエゴは気付いていないはず。
さて、これからどうしていこうか。皆の命運は私に掛かっていると言っても過言じゃない。未来機関の人にパスワードを教えて貰ったから、江ノ島の思い通りにはさせない。




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