融解温度




次の授業は体育だ。めんどくさいから屋上にでも行って、上から友達を陰ながら応援でもしよう。もうどこのクラスも授業中だが、気にせずに、むしろ優越感を感じながら廊下を歩く。屋上のドアを開けたときに丁度風が強く吹いてきて少しよろけた。
「大丈夫?名前」
先客が居た。凪斗だ。ドアの近くの、日が当たるいつもの場所に胡座をかいている。凪斗の髪は不思議な色をしていて、光に当たると輝いて見えてとても綺麗だ。肌も女の私以上に白く透き通っていて神秘的だ。少し緊張してしまう。悟られないように、平然を装って話す。
「凪斗もサボりなんだね。授業は?」
「数学中かな。高校の数学ならそこそこ出来るから受けなくてもいいやって」
凪斗が言うそこそこは全然そこそこじゃない事を私は知っている。確かこの前のテストで学年1位だったっけ。私よりサボってる時間が多いくせに頭がいい。
「凪斗はいいねー、なんでも簡単にこなしちゃうスーパー高校生で」
「何その安っぽいネーミング…。名前が頭よくなりたいならボクが教えてあげるけど」
「本当に!?」
思わず身を乗り出してしまった。テストがもう近いというのに、数学の授業を真面目に受けてても全くわからないところがあって困っていたところだったのだ。凪斗に勉強を教えてもらうのは初めての事だ。出会ったのも付き合い始めたのもこの屋上で、サボっていた時のことだったから。
「じゃあ凪斗先生、数学教えてください」
屋上の床に教科書を広げて笑いながらふざけて言ってみた。すると凪斗は一瞬面食らった表情になったが、そのあとすぐにいつもの表情に戻った。
「…テスト範囲で名前のわからないところは?」
いつも通りの穏和な声だ。良かった、私がなにか変なことをしてしまったかと一瞬不安になったが、大丈夫そうだ。
「えっと、92ページあたりからが全くわかんなくて…」
「やっぱり勉強後にしない?」
私が分からない場所を教えた時に遮るように凪斗が言った。
「え…?教えてくれるって言ったの凪斗の方じゃん」
私が言い終わる前に凪斗が腰のあたりにしがみついてきた。
「名前あったかい」
「は…?え、ちょっと勉強は!?」
勉強を教わるために体を揺すったり凪斗を剥がそうとした。けれど抱きついている力が強くてできなかった。
「凪斗が教えてくれるっていってきたのに」
不機嫌アピールをするために口をちょっと尖らせていってみた。
「あはは、ごめん。気が変わっちゃった。好きな人といれる時間なんてさ、学生のボク達には全く確保出来ないものだからボクはただ、こうやって何もしないで一緒にいたい…って名前に迷惑かな」
目を真っ直ぐに見られて言われて恥ずかしかった。
「し、仕方ないから今日はそうしてあげる」
断る義理もないから受け入れる。すると凪斗は、本当に嬉しそうに微笑んでくれた。


「今週中には勉強教えてよね」
「じゃあ勉強やるときは凪斗先生って呼ばせようかな」
「え?」
「先生呼び気に入っちゃった」
「変態」







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時雨さんのリクエストで狛枝といちゃいちゃ甘め…です。書き終わってからデートとかのシチュエーションの方がもっといちゃいちゃ書けたなと思いました。物足りないかもしれませんがこれが私の精一杯です。これからも狛枝作品書いていくので精進していつか満足していただけるものがかけるようになりたいです!^^
リクエスト本当にありがとうございました!




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