ポロネーズ




※最初あたり夢主が見事に一人語り



明日は大切な日である。付き合ってから初めてのデート。そもそも付き合った人は日向くんで一人目だから本当に私にとっては人生で初めてのデートである。日向くんはあれだけ紳士的でかっこいいから初めてじゃないんだろうな、なんて考えてしまって自信がなくなる。私が緊張していてもあっちがエスコートしてくれていい面もあると思うが、やっぱりなんだか悲しくなる…。って、手が止まっている。考え事をしながら準備が出来るほど凄い人間じゃないから、今は準備に集中しなくては。今はもうデートの前の日の夜10時だ。絶対寝つけないから早めに寝ようと計画していたのに、このペースのままだと間に合わない。昼頃から準備を始めたのにも関わらず、インナーすら決まっていない。日向くんはどんな服を好むのか、はたまた考え事をしていたりして、すっかり空は暗くなってしまった。でも妥協はしたくない。クローゼットにある服を取り出して、ベッドの上に並べる。どれを日向くんは好むだろうか。比較的派手なのは避けておくべきだろう。…いや、意外と派手なものを好むかもしれない。こんなに考えることになるんだったら昼間のうちにどんな服が好きか聞いておくべきだった。でもきっと自己主張が強すぎないものにしておけば無難だろう。と結論が出たところでもう10時30分を時計の針は指していた。無難な服をベッドの上に並べ直してコーディネートを考える。明日は寒くなるからベージュのコートは必須だ。それから合わせるならのマフラー、インナーは細かいラメが入ったセーターに、ミニスカート。下はタイツ、靴はブーツにしよう。結局全部決まったのは11時をかなり過ぎたあたりだった。すぐに布団に入ったが、予想通りに全く寝付けなかった。




朝はアラームよりも早く起きてしまった。集合時間は9時で移動時間もそんなにかからないのに、6時に目が覚めた。寝付きが悪かったために睡眠時間が足りていないはずなのに、何故か二度寝が出来ない。家でじっとしているのも退屈だ。こうなったら早く支度をして日向くんより先に待っていよう。私より遅く来る日向くんの反応が楽しみだし、何より早く日向くんに会いたかったから。
家を出たのは8時30分前で、かなり早い。…筈だったのだが、集合場所に行くと既に鼻を赤くした日向くんがいた。
「どうしたの!?こんなに早くに」
「どうしたって…。でも名前だってまだ集合時間じゃないのに来てるだろ」
「そうだけど…」
早く着いて日向くんの反応が見たかった、会いたかった、なんて今考えると恥ずかしくて言えなかった。
「ひ、日向くんこそ早かったね。何時からいたの?」
日向くんは私から少し目をそらした。
「…30分前」
「今から30分前って……!寒かったよね!?ごめんね日向くん!」
日向くんの手を握ってみる。私は手袋をしているのだが、日向くんはしていない。手袋をしてても冷たさが伝わってくるくらいに冷えきっていた。
「家にいるのも暇でそれにじっとしてられなかったし、……名前になるべく早く会いたかったから…」
最後の方は日向くんは顔を真っ赤にして言っていた。聞いている私も恥ずかしくて、つられて顔が赤くなってしまった。この日向くんのこの様子だときっと今回が初めてのデートなんだと思った。自分も人のこといえない身なんだけれど。
「…私も、日向くんに会いたくて……」
言ってる途中に気付いた。私、日向くんの手を握りっぱなしだった。慌てて離そうとしたら、今度は日向くんに握り返された。
「寒いし、…デートだし、今日1日中繋がないか?」
「…うん!」
握り返しながら返事をした。それはもう、喜んで。
「名前の今日の服、可愛いな」
いかにも言い馴れていないというようなぎくしゃくした口調で、日向くんがポツリといった。その言葉が聞けただけで昨日頑張った甲斐があったと思えてしまった。我ながら単純すぎて少し笑えた。




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