カップラーメン食べましょう




麺を啜る。最近のカップラーメンというのは種類も豊富で、味、麺、かやくにもこだわりがあって技術は凄く進歩したなあと改めて思う。いくら花村の美味しい料理があっても、たまにはカップラーメンの味が恋しくなる気分がくるのだ。今日はその気分。一人でコテージで食べ続けていると、いきなりドアが勢いよく開いた。
「わかりましたよ、このナイスなスメルは名字さんのコテージからですね!」
まるで道場破りをしに来たかのような勢いだった。
「ちょっ、ソニアさんドア壊れそうだからやめて!あとソニアさん鼻良いんだね!」
とりあえずつっこみたいところはつっこんどいた。けれどソニアさんは気にせずに「お邪魔します」と丁寧に言った後、部屋の中へと入ってきて私の食べていたカップラーメンの前で足を止め、目を輝かせた。
「これは…!ジャパニーズフードですか!?食べたこと無いので興味がむくむくわいちゃいます!」
ただのカップラーメンなのに?…そうか、ソニアさんは食べたことが無いんだ。
「…じゃあ、ソニアさんも食べる?」




ソニアさんは王族だから、少しでもお湯が掛かったら大変だと思い私が作ってあげようとしたが、ソニアさんが自分で作りたいと言ったので作らせた。選んだのはギットギトこだわりとんこつ味イカスミ入りだった。たまにソニアさんのセンスを疑いたくなるが、気にしない。
「わあ…では早速、いただきます!」
「ちょっと待って!あと3分待ってからじゃないと完成じゃないから!」
なんとソニアさんはお茶漬けの時のようにお湯を入れた後にすぐに食べようとしていた。危なかった。
「まあ、そうでしたか!大変失礼しました。それでは少しの間、お話をしましょうか」
「話ってここに来る前の話とか?」
「いえ、人種差別の話をしましょう」
私はどきりとした。まさか。
「…さっき私が『王族だから』って言ったこと?」
「そうです」
ソニアさんはきっぱりと言った。私、最低な事を言ってしまった。ごめんなさい、と私が口を開く前に、
「謝らなくていいのです。ですが、少し傷付きました。王族だからといって事を遠ざけるのは尊敬しているようで軽蔑をしていることとなんら変わりないんですよ?」
私は知らないうちにソニアさんを軽蔑してしまっていたんだ。今までだって、この島の同じ境遇だというのにどこか理由を付けて避けてしまっていたんだ。
「私は確かに王族かもしれませんが、このように閉鎖された場所では何も効力を持ちません。普通の女です」
「ソニアさん…ごめんね、私なにもわかってなかった」
「…ここまで言ったのは名前さんと仲良くなりたかっただけです。これをきっかけに私とお友達になっていただけたら私はとても嬉しいです!」
そう言って上品で気品のある笑い方をするソニアさんは手を差し伸べてきた。こちらこそ、と言う前にタイミング悪く三分を測っていたタイマーの音に遮られる。この三分はとても短く感じられた。




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