若さ故の過ちを




私は、好きになる人を間違えたと自分でも思う。それでも好きになった人を簡単に覆せるほど大人ではないため、どうしようもない。




最初に狛枝と会った時の第一印象は最悪だった。何かと他人に干渉してきてはしつこく一人でぺらぺらと喋っていて、気味が悪くて避けようと思っていた。けれど、何がきっかけとははっきりとは言えないが毎日少しずつ話していくうちに(…最初は本当にあっちから一方的にだったが)、希望の存在である人をやたら崇拝しているのは自分の出来ない事が出来る人達をただ純粋に尊敬しているからこそである事がわかって、なんだか狛枝を偏見した見方で見るのは違うような気がした。普通は自分より位が上の人がいたら妬んだり、僻んだりするというのに。それが何故か私の琴線に触れたんだろう。そう気付いた時は遅く、狛枝の事が好きになっていた。






「なあ、名前ちょっといいか」
いつもの様に狛枝とたわいのない話をしていると、突然日向くんに呼ばれた。用件は思い当たる節もなく狛枝から離れて少し遠くにいる日向くんの元に行く。
「日向くん、どうしたの?」
そう聞くと日向くんはちらっと狛枝の方向に目配せをしてから、
「なんで狛枝なんだ?」
質問の意味がわからなかった私は声が出せず答えられなかった。それを日向くんは質問の意味がわかっていて敢えて黙っているものだと捉えたらしく、来たときから不機嫌そうだった顔を更に歪め、
「……なんで、あんな非常識な奴に…ッ」
独り言のように言っていた。
非常識な奴、というのはさっき目配せをした点から、狛枝の事だと思う。狛枝は確かに常識はないと思う。それは否定出来ないけれど、好奇心が常人の倍以上あるだけだと思えてしまう私はそろそろ末期なのだろうか。日向くんの様な常識のある人を好きになれたらどんなに楽だったのだろうか。くせ者を好きになってしまうとどうも代用する人がいなくて困ってしまう。
「…ごめんね、日向くん」
深い意味は無いけれど、謝っておく。




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