マリア・ブランドーの巻
マリア・ブランドーは可憐な少女である。兄、ディオ・ブランドーに似て、容姿端麗であり、彼女を目にする人々は、
「まぁ、本当に可愛らしい!」
「お人形さんのようだね〜!」
「お母様に似てきたんじゃあない?」
次々にこう口にした。まだまだ幼かったマリアも、その言葉に嬉しさとしおらしさを持っていた。喜びからか、高揚した気持ちにスキップをして家に帰る。
『お母様!』
マリアは洗濯物を干していた母に飛び付いた。
「まあマリア、そんなに慌ててどうしたのです?」
小さな天使を軽々と受け止めて抱きしめる。母からふわりと漂った甘い香りに、マリアはもっと嬉しくなった。
『お母様、マリアね、お母様の子供で嬉しいわ!』
「あらあら、私もよ。マリアとディオが、私の子供で嬉しいわ。可愛い私の子供たち…、」
マリアが帰ってきたのを見つけたディオが、二人の元へ駆け寄る。母は優しく二人を抱きしめた。
「母さん、ぼくを子供扱いしないでください!」
「まあ、小さな騎士様はもう大人なのね!うふふ。」
「母さん…!」
「小さな騎士様は、お姫様を護ってあげてくださいね?」
「もちろん!ぼくはマリアを大事に思っていますから!」
「頼もしいわ!ね、マリア。」
二人の頭を撫でながら、抱きしめる腕を緩める。
『お兄様、大好きですわ!』
大好きな兄に抱きついたマリアに、ディオは頬を染めながら、小さなお姫様を優しく抱きしめるのだ。
「…ぼ、ぼくだって…!」
「あらあらまあまあ…!」
二人のやり取りに優しい笑みを浮かべる母が、二人は大好きだった。大好きな、母だった。
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眠り姫