彼女の行方の巻

それからメリーは、マリアの退院手続きをして、ジョナサンの病室へマリアをしばらく預かるという書き置きを持っていった。しかし、ジョナサンを看護していた看護婦に入室を拒まれたため、書き置きはその看護婦へ本人が目を覚ましたら渡すよう頼み、メリーはマリアを連れて馬車に乗り込んだ。

「まずは食事と、マリアの杖を調達しなくちゃね!」
『…本当に良かったの…?迷惑じゃあない?』
「何言ってるのよ!私たち親友でしょ?困ってる親友をほおっておくわけにはいかないわ!」
『メリー…、本当にありがとう。私、メリーが親友でよかったわ…。神様に感謝しなくちゃ…。』
「あら、私だって同じ気持ちよ!さ、まずは街へ向かいましょう?マリアの洋服も準備しなくちゃ!」
『…、』
「あ、今、申し訳ない、とか考えた?」
『え、』
「いい?これは私の押し付けなんだから、素直に受け取って?」
『…ええ。』

マリアはメリーにほほ笑んだ。馬車はゆっくりと、街を目指して進み始めた。




そして、何も知らないスピードワゴンは、看護婦たちを問い詰めていた。

「ああ、マリア・ジョースターさんなら退院されましたよ、昨日。」
「なんだってェーーッ!」
「はい、お友達のメリー・カーラーさんという方のお家に暫くお世話になるそうです。目を覚ました昨日のうちに、退院なされました…。」
「そ、そのメリーっていうレディの家はどこだ!?」
「さ、さあ…、そこまでは…。でも、お二人はご親友だと申されてましたので、ご心配するようなことはないと思われますが…。」

仕事が残っていますので、と立ち去った看護婦たち。スピードワゴンはその夜、ジョナサンの病室へ忍び込んだのだった。

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眠り姫



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