人間を超越する!の巻

鍵盤を弾く指がぶれた。マリアは動きを止める。音を間違えてしまった。

『…はぁ…。』

重苦しいため息を吐いたマリア。今日はもうピアノを弾く気にはなれそうにない。マリアは杖を手に部屋を出る。ジョナサンは広間にいると言っていた。あれからそう時間もたっていないはずだ。運が良ければまだいるだろう。マリアは広間へ向かった。ゴロゴロと雷鳴が響き、マリアは不意に怖くなって足を速めた。広間に近付くにつれ、ざわざわと胸騒ぎがする。いざ、広場へ足を踏み入れた。

「おれは人間をやめるぞ!ジョジョーッ!おれは人間を超越するッ!」
「ナイフを持っている!奴を射殺しろっ!」

広間に響いた声は明らかに自分の兄の声だ。マリアは声のする方へ近づく。

「マ、マリアお嬢様、いけませんッ!!」

マリアに気付いたメイドの一人が腕を掴んで引き止めた。

「い…、石仮面、なぜ君が持っている?」
「危ないッーッ、ジョースターさんッ!」
「ジョジョ、おまえの血でだァーッ!!」
『お兄様ッ!』
「あああ、」
「こ…、これはッ!」
「ぐ…、ジョジョ…、」
「と…、とうさんッ!」
「奴を射殺しろーッ!」

鳴り響いた銃声に、マリアは息が止まる。ディオの哂い声が響いた。ガラスの割れる音に、マリアはメイドの腕を振りほどいて音のした方へ近付く。

『お兄様…!!』
「お嬢様!」
『お兄様…、どこ…?返事をして…!』

ガクガクと震える手足に、マリアは杖を落としてしまった。手探りで窓際へ向かう。背後ではジョナサンがジョージに呼び掛ける声と、警察が慌てふためく声。雷鳴が響く。

『ッ、』

鋭い窓ガラスの破片がマリアの指を切った。稲妻が、マリアの顔を照らした時だった。

「警察のだんな、マリアさん、窓から離れろーッ!!」

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眠り姫



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